Boycott the Olympics: It’s China’s Responsibility To Dispel Distrust

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中国の深刻な人権侵害が一向に止まらないことに対する強い批判の表れだと言える。中国は 真摯 に受け止め、不信の 払拭 に努めるべきだ。

 米政府が、来年2月から開催される北京冬季五輪・パラリンピックに政府代表団を派遣しないと発表した。いわゆる「外交的ボイコット」である。中国による新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を理由に挙げている。

 米大統領報道官は、こうした状況では、通常通りに物事を進められないと強調した。米国の選手は大会に参加するとしている。

 政府代表団は五輪の開会式や閉会式などに出席し、自国の選手を応援したり、開催国との友好親善を深めたりする役割を持つ。米国は今夏の東京五輪にはバイデン大統領夫人らを派遣していた。

 中国の人権侵害を巡っては、香港の民主活動家への弾圧や、前副首相を告発した女子プロテニス選手の安否が懸念される問題でも批判が集まっている。米国では対中強硬論が高まり、選手の五輪不参加を要求する声も出ていた。

 人権重視を掲げるバイデン米政権は、五輪に向けて準備してきた選手の立場を尊重しつつ、中国に断固としたメッセージを送る必要があると判断したのだろう。

 中国は強く反発し、対抗措置をとる構えを示している。北京五輪に各国の首脳や閣僚らを集め、中国の存在感を内外に示す思惑は狂いつつあるのではないか。

 こうした事態を招いたのは、人権抑圧の非難に「でっち上げ」と反論するだけで情報を公開しようとしない中国の体質である。

 米政府は、新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の少数民族ウイグル族100万人以上が施設に収容され、拷問や強制労働、虐待が行われていると指摘している。

 米欧の政府や議会は、弾圧は「ジェノサイド(集団殺害)」にあたるとの認識を示し、実態解明のため、国連調査団を現地に派遣すべきだと訴えてきた。

 人権の尊重は世界人権宣言などでうたわれた普遍的価値観で、中国も賛成している。「内政干渉」を理由に国連による調査や監視を拒否しているのは筋が通らない。日本も中国政府に直接、調査団の受け入れを促すべきだ。

 岸田首相は北京五輪への対応について、日本が独自に判断するとの考えを示した。五輪の成功には協力すべきだが、平和の祭典が中国の宣伝の場と化し、人権侵害がうやむやにされるようなことがあってはならない。

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