米ロ首脳会談 ウクライナ衝突回避を
軍事衝突の懸念が高まっているウクライナ国境の情勢を巡って、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領がオンライン形式で会談した。
2019年に就任したウクライナのゼレンスキー大統領が今年3月、ロシアからのクリミア半島奪還を目指す方針を打ち出したのに合わせ、ロシア軍が国境地帯に集結し、その数は9万人に達する。
バイデン氏は懸念を表明し、ロシア軍がウクライナに侵攻すれば、制裁を念頭に強力な経済的措置を取り、周辺の同盟国への軍事支援強化を図ると警告した。
プーチン氏はウクライナを念頭に、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国を拡大をしたり、ロシア近隣に攻撃型兵器を配備したりしない「法的な保証」を求めた。
米紙によると、ロシア軍は来年初めにも侵攻を開始し、部隊は17万5千人規模になると、米側は分析している。
ロシアは緊張を高める行動を直ちにやめるべきだ。両首脳は当局間による協議継続を確認した。NATOやウクライナも交え、早急に事態収拾を図る必要がある。
そもそも問題の発端は、ロシアが14年に国際法を無視してウクライナ南部クリミア半島を武力で一方的に編入したことだ。
会談でバイデン氏はウクライナの主権と領土保全への支持を改めて表明した。ロシアはクリミア編入を取り消し、以前の状態に戻さなければならない。
ロシアにとって安全保障上、ウクライナは欧州との緩衝地帯であり要衝だ。ウクライナが親欧路線を強め、NATOに加盟することに懸念を強めているのだろう。
だからといって、軍事力で解決を図ることは認められない。
7年前のように侵攻に踏み切れば、欧米による制裁強化を招き、国際社会でさらに孤立することを、ロシアは深く認識すべきだ。
バイデン氏は、ウクライナ侵攻時には旧ソ連のバルト諸国などへ米軍を追加派遣すると伝えた。
力に力で対抗すれば、偶発的な衝突を招きかねない。軍事より外交的解決に努めるべきだ。
米ロ関係は、16年の米大統領選で、ロシアがトランプ前大統領の当選を後押ししたとされる疑惑が浮上して悪化し、冷戦後最悪と言われる状況が続いている。
半年ぶりの顔合わせとなった今回の会談では、核軍備管理なども話し合った。さらに協議を重ね、対立から軍縮への動きを加速させてもらいたい。
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