日本を取り巻く安全保障環境は急速に悪化している。日米同盟を一層強化するため、日本自身がより大きな役割を果たす必要がある。
日米の外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれた。昨年3月以来の協議で、岸田内閣にとっては初めてだ。
新型コロナウイルス流行でオンライン形式となったのは残念だが、日米の強固な連帯を国際的にアピールした意義は大きい。
共同文書では、中国などを念頭に、「急速かつ不透明な軍事力の増強」や「先進兵器システムの大規模な開発や配備」に懸念を示した。そのうえで、「同盟を絶えず現代化し、共同の能力を強化する」と強調した。
中露や北朝鮮が開発・配備を進める極超音速兵器や変則的な軌道で飛ぶ新型ミサイルは、現在のミサイル防衛体制で迎撃することは難しい。日米も、先端技術を装備に取り入れ、対処力を抜本的に向上させていくことが急務だ。
中国はこの20年間で国防費を10倍近く増やし、西太平洋に限れば米軍をも上回る軍事大国となった。北朝鮮もミサイル実験を繰り返し、脅威を増大させている。
日米両政府は深刻化する安保上の課題を直視し、抑止力と対処力を高めなければならない。
4閣僚は、先端技術をめぐる連携を加速させることで一致した。極超音速兵器の探知や迎撃についても、共同研究開発を視野に検討を始めるという。
岸田政権は、年末までに国家安保戦略などを改定する方針だ。バイデン政権も、国家安保戦略策定の最終段階にあるとされる。同盟がより効果的に役割を果たせるよう、すり合わせてもらいたい。
日本側は今回、ミサイル攻撃への対処で、敵基地攻撃能力の保有を含めてあらゆる選択肢を検討する考えを伝え、米側と緊密に連携することを確認したという。
日米は、抑止力強化のあり方について、具体的な対策をさらに協議してほしい。先端技術の流出防止や供給網の強化など経済安保についても、様々なレベルで対話を重ね、国際社会のルール作りを主導していくことが重要である。
4閣僚は、沖縄などの在日米軍基地で新型コロナの感染が拡大している問題も議論した。
在日米軍の存在は地域の平和維持にとって不可欠だが、住民の理解がなければ安定的に駐留することはできない。米側は、それをもっと強く認識すべきだ。
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