ロシアがウクライナに侵攻するとの観測が強まり、情勢は緊迫の度を増している。米欧は連携して実効性のある対露制裁を準備し、暴挙を阻止しなければならない。
ウクライナ国境に集結した10万人のロシア軍部隊は、臨戦態勢を敷いている。ロシアと関係が深いベラルーシにも「合同軍事演習のため」にロシア軍が入り始めた。ウクライナは包囲された形だ。
米国とロシアの度重なる協議でも、解決の糸口は見えない。緊張を一方的に高めたうえで「ロシアの安全の保証」を求めるプーチン露大統領の手法は威嚇に等しい。軍の撤収が先決ではないか。
プーチン氏は、北大西洋条約機構(NATO)の拡大がロシアに脅威を与えているとして、ウクライナなどを新たに加盟させない確約を米国に求めている。
米欧の軍事同盟であるNATOへの加盟は、各国が自由な意思で選択し、NATOが受け入れるかどうかを決めるのが筋である。ロシアの要求は、ウクライナの主権をないがしろにするものだ。
「NATO部隊は東欧から撤収すべきだ」というロシアの主張からも、欧州の安全保障秩序を自国に都合の良い形に変える狙いが透けて見える。一連の要求を米国が拒否したのは当然だろう。
プーチン氏が次の一手として、ウクライナ侵攻に踏み切り、親露政権の樹立や領土の分割に動く可能性は排除できない。
米国をはじめとするNATO加盟国にウクライナ防衛の義務はないが、国際法に違反する侵略行為を黙認するわけにはいかない。放置すれば、台湾の武力統一を辞さないとする中国に、誤ったメッセージを送ることにもなる。
バイデン米政権はウクライナへの軍事支援を強化する一方、ロシアに対して「侵攻した場合は厳しい経済制裁を科す」と警告している。先端技術の対露輸出規制や金融制裁などが検討されている。
問題は、天然ガスなどのエネルギーをロシアに依存する欧州諸国が米国と足並みをそろえられるかどうかだ。ロシアが制裁に反発し、ガス供給停止などの対抗措置をとることも考えられる。
強力な制裁は、発動する側も一定の打撃を受けざるを得ないが、戦争がもたらす悪影響は、はるかに大きい。ロシアの侵攻を断固として防ぐ決意を示すべきだ。
日本も、力による現状変更を許さない国際原則に基づき、先進7か国(G7)の一員として 毅然 とした姿勢を見せる必要がある
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