Can the Japanese Government Suspend US Military Drills at Naha Air Base?

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[米軍 那覇軍港で訓練]歯止めかけぬ政府とは

米軍那覇港湾施設(那覇軍港)で、8日から在沖海兵隊による訓練が始まった。那覇空港から目と鼻の先、市街地に位置する場所での大規模な訓練は住民に与える不安も大きい。即刻、中止すべきだ。

 海兵隊によると訓練は人道支援や非戦闘員退避などを目的に第31海兵遠征部隊(31MEU)250人が参加、オスプレイやCH53大型ヘリなど4機種、海軍の輸送艇も投入する。

 31MEUが、那覇軍港でこうした訓練をするのは初めてのことだ。9日から訓練は本格化し、深夜早朝に及ぶ可能性もあるという。

 訓練初日の午前10時ごろ、那覇軍港にCH53ヘリが着陸し、武器を手にした迷彩服姿の兵士が次々と降り立った。施設内の建物を囲むように有刺鉄線が張り巡らされ、国道沿いからは、ライフル銃を構える隊員の姿が見えた。

 市民団体がフェンスを挟んで訓練に抗議。辺りは市街戦を想起させる緊張感に包まれた。

 県や那覇市が訓練中止を求める中での強行である。米軍や国からは、事前に県や市への通知も説明もなかった。

 在沖米軍基地の使用条件を定めた「5・15メモ」は、那覇軍港の使用目的を「港湾施設および貯油所」と記している。だが、松野博一官房長官は「港湾の使用が想定される訓練」などと使用目的に反しない、との考えを示した。

 何が反していないのか理解に苦しむ。これが、認められれば、どんな訓練でもできるようになってしまう。目的外使用は明らかだ。地元感情を無視した歯止めのなき訓練拡大は、新たな基地負担を強いるものだ。

 那覇軍港が活発に使用されたのは、1960年代のベトナム戦争時にさかのぼる。その後軍港機能は、ホワイトビーチに比重を移してきた。那覇軍港への入港数は88年以降減少傾向で、ほぼ年間10~30隻台で推移していた。2003年以降は米軍が公表せず、使用実態は隠されたままだ。

 遊休化していた那覇軍港での訓練は、地域住民に強い不安を与える。

 都市部で面積が小さい施設での訓練は危険性も高まる。

 12年のオスプレイ配備に先立ち米軍は、県内69カ所の着陸帯について訓練計画や環境への影響を示した。その中に那覇軍港は含まれていない。

 オスプレイの那覇軍港での訓練は、想定されていなかった。非戦闘員退避訓練などに対応する訓練施設は県内外にもある。市街地に位置する那覇軍港で訓練する必然性はあるのか。

 昨年11月、米本国に船で輸送されるオスプレイが那覇軍港に飛来した際、県は目的外使用として、離着陸しないように求めた。

 今回は機体の輸送ではなく、訓練自体が目的で、那覇軍港の使用が、恒常化することを強く、危惧する。

 台湾有事などを想定した訓練ではないか。有事となれば、南西諸島が戦場となる恐れも出てくる。米軍の訓練の拡大強化は、今でも過重な基地負担に苦しむ県民には到底受け入れられない。

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