The World Economy Trembles: Cooperation Must Be Used To Minimize the Effects

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ウクライナを軍事侵攻したロシアに対し、米欧が金融・貿易面での経済制裁を強めている。

 新たに、ロシアの特定の銀行を国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除する方針を表明した。

 国をまたぐ送金・決済が難しくなることから、極めて大きな威力を持つとの見方がある。

 国際法に背くロシアの暴挙を阻むには厳しい措置が欠かせないと判断したのだろう。

 ただ制裁の痛みは、制裁する側にも及びかねない。

 世界経済は既に動揺している。最大の要因は原油高だ。世界生産の1割を占めるロシアからの供給が制裁で細ると懸念されている。

 欧州がロシアに依存する天然ガスの価格も値上がりしている。

 エネルギー価格上昇は、世界のインフレに拍車をかけよう。コロナ禍からの回復途上にある景気が失速しかねない深刻な事態だ。

 世界経済への打撃を最小限に抑える努力が求められる。日本を含む主要7カ国(G7)など各国が連携して混乱を乗り越えたい。

 新たな制裁のメニューには、ロシア中央銀行への取引制限措置も盛り込まれた。

 通貨ルーブルの下落を防ぐ売買を封じるものであり、ルーブル暴落や大幅な物価上昇を引き起こす可能性がある。

 ロシア国内の経済・金融面の混乱が海外に波及しないか、米欧日の当局は目を凝らすべきだ。

 侵攻後に世界の株式市場は軒並み大幅下落した。制裁でマネーの流れが滞れば、株式などの資産にさらなる値下がり圧力がかかる。

 実体経済に影響が及び、設備投資や個人消費が冷え込む事態は回避しなければならない。

 先行きを左右するのが米連邦準備制度理事会(FRB)だ。

 インフレを抑制するため、来月中旬にも利上げによる金融引き締めに踏み切ることにしている。

 ただこうした方針は、ウクライナ侵攻以前に固めたものだ。

 景気は今後、下降線をたどる恐れがある。急激な引き締めは世界経済に悪影響を及ぼしうる。

 FRBは既定方針に縛られることなく、臨機応変に最適な金融政策を実施してもらいたい。

 コロナ禍で疲弊した途上国の経済は、侵攻や制裁の余波の打撃を被りやすい。ウクライナの市民生活も気がかりだ。

 G7のほか世界銀行など国際機関は、影響を怠りなく見極め、十分な支援を講じてほしい。

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