Sanctions against Russia: Japan Must Lead International Effort at Solidarity

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力による現状変更を許せば、ルールに基づく国際秩序が根底から揺らぐことになる。日本は、国際社会の連帯を 牽引 していかねばならない。

 ロシアによるウクライナ侵略に対し、政府は、プーチン露大統領らの資産を凍結するほか、国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの7銀行を排除するなどの制裁措置を決定した。

 日本は先進7か国(G7)の一角を占め、「自由で開かれたインド太平洋」を主導してきた。欧米と足並みを 揃 え、厳しい制裁を実施していく必要がある。

 日本は、尖閣諸島周辺で中国の理不尽な圧迫にさらされている。中国は、台湾海峡や南シナ海でも軍事的な緊張を高めている。

 ロシアに侵略を断念させ、高い代償を払わせることができるかどうかは、今後の中国の行動にも影響を与えよう。核兵器による威嚇など、国際法を 蔑 ろにするロシアの横暴を許してはならない。

 欧米では、更なる制裁強化も検討されている。政府は日本の安全保障に直結する問題として、より効果的な措置を検討すべきだ。

 岸田首相はG7や日米豪印の首脳会談で、ロシアを強く批判し、「力による現状変更を試みることへのコストを明確に示していく必要がある」と訴えた。

 首相は、国際社会の結束に向けて、首脳外交を一層活発に展開してもらいたい。被爆地・広島出身として、核の惨禍を訴え、ロシアに自制を迫ることも重要だ。

 国連緊急特別総会のロシア非難決議では、日本が欧米と連携し、賛成に消極的な国を説得したという。東南アジア諸国を始め、欧米と距離のある国々にも協調を働きかけるのは日本の責務だろう。

 ロシアが2014年にクリミアを併合した際、日本は北方領土交渉への影響を考慮し、欧米並みの制裁を当初は実施しなかった。

 日本は、経済協力によって領土問題の進展を図る手法をとってきた。だが、首相は今回、「ロシアとの関係をこれまで通りにしていくことはもはやできない」と表明した。当然の判断だ。

 ロシアが不法に占拠した北方領土の返還を求めるという原点に立ち返ることが肝要である。

 政府は、ウクライナからの避難民受け入れや緊急人道支援も実施する方針だ。現地の人々に寄り添った援助を拡大してほしい。

 在日ウクライナ大使館などには、多くの寄付が寄せられているという。国民レベルでも様々な形で日本の支持を伝えたい。

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