<社説>金武でまたPFAS 米軍は基地内調査認めよ
国の暫定指針値を超える有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が2月に金武町の水道水から再び検出された。同じ浄水場の水道水から2020年6月にも指針値を超えるPFASが検出されており、今回で2度目だ。今月4日の検査では指針値内だったが看過できない。
米軍キャンプ・ハンセンが汚染源の可能性が高いことから、最初に検出されて以降、県や金武町は立ち入り調査を求めてきた。しかし米海兵隊は基地との関連を否定、調査を認めていない。日本政府も原因を究明する意思があるのか問いたい。住民軽視だ。
これでは町民の命や健康は守れない。原因を究明し責任の所在を明確にするとともに住民の健康調査が必要だ。米軍は即刻立ち入り調査を認め対策を講じるべきだ。また、調査を阻んでいる日米地位協定を早急に改定すべきである。
PFASは環境中でほとんど分解されないため人や動物の体内に蓄積する。発がん性のほか、出生時の体重に影響が出る。町によると、2月21日に採水した3カ所の水道水のうち、金武区の1カ所で指針値50ナノグラムを超える59ナノグラムを検出した。同区の水源6カ所のうち2カ所では180ナノグラムを記録している。
20年6月にも金武区で70ナノグラムを検出した。汚染状態が1年8カ月以上も放置されていること自体、異常だ。町や町議会は原因究明の調査とそれに基づく対策や立ち入り調査への協力などを国に再三求めてきた。町は指針値超えの水源からの取水停止と県企業局水への全量切り替えに向けた送水管の整備を急いでいる。
しかし、責任の所在はいまだに明確にされず、原因の究明さえ進んでいない。この間、町民の不安は大きく、健康調査を求めてきたが一向に実施されていない。仲間一金武町長は原因究明のための基地内立ち入り調査が先で、その結果を踏まえて国に健康調査を求めていくとの考えだ。
基地内立ち入り調査を阻んでいるのは日米地位協定である。日本側の立ち入りを認めている環境補足協定は米軍自身が原因と認め日本側に通報した場合に限り立ち入りを認めている。米軍が認めていない現状では調査ができない。
米軍は「予備調査の結果、数値上昇につながる原因は基地内で特定できなかった」と主張する。しかし米軍は調査地点や内容、PFASの数値など詳細を明らかにしていない。不誠実な態度を続ける米軍の言い分を認めるのは、無責任と言わざるを得ない。
本当に基地と関係ないのなら米軍は堂々と調査を受け入れればいいはずである。日本政府は立ち入りが認められるよう日米地位協定の抜本改定に取り組むべきだ。
ハンセン内の水道水は全て県企業局水である。基地由来とみられる汚染水が周辺住民に供給される一方で基地内には安全な水が供給されている現状はあまりにも理不尽だ。
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