Invasion of Ukraine: US Bans Russian Oil Imports; Japan and Europe Should Follow

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ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、米国がロシア産原油・天然ガスの禁輸を決めた。英国も年末までに原油輸入を停止する。

 原油で世界2位、天然ガスでは世界一の輸出国であるロシアは、その収入が歳入の半分を占める。

 米欧日はこれまで国際的な資金決済網からロシアの銀行を排除したり、ロシア中央銀行の資産を凍結したりしてきた。

 だが、専門家は「最大の資金源であるエネルギー収入を断たなければ、制裁効果は不十分だ」と指摘していた。バイデン米大統領は「ロシア経済の大動脈が標的だ」と、禁輸の意義を強調する。

 国際社会の非難が高まっているにもかかわらず、ロシアは攻撃を激化させている。対露圧力を強めることが不可欠だ。

 ただ、日欧は禁輸を見送った。産油国でもある米英と異なり、他の欧州諸国は原油・ガスの3~4割をロシアから調達する。日本には化石燃料の調達を全面的に輸入に頼る弱みがある。

 とはいえ、従来通りに輸入を続ければ、国際的な制裁の「抜け穴」になりかねない。ロシア側が米英による禁輸への報復措置として、世界への供給を停止する恐れもある。日欧にも「脱ロシア」への備えが求められる。

 欧州は、調達先の多様化や再生可能エネルギーの導入拡大などで2030年までにロシアに依存しない体制をつくる計画だ。当面は年末までにロシア産ガスの調達を3分の1に減らすことを目指す。

 日本も戦略を明示すべきだ。官民が出資する極東での資源開発事業「サハリン1」と「2」からの輸入がロシア産の大半を占める。調達を減らすとともに、事業の凍結も検討課題となるだろう。

 新型コロナウイルス禍からの経済活動再開で昨年来、原油・ガス相場は高騰している。ロシア産の排除を進めれば、国民生活に深刻な打撃が及ぶ懸念もある。

 米欧日はそのような事態も想定し、対露圧力を維持できる環境を整えるべきだ。

 まずは中東産油国に増産を働きかける。同時に、石油の国家備蓄放出や、各国間で天然ガスを柔軟に融通できる仕組みづくり、省エネなどを進める。あらゆる分野で協調していく必要がある。

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