1 Month Later: Life after Evacuation

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膠着(こうちゃく)状態が長引くほど、命を落とす市民が増える。ロシア軍はただちに攻撃をやめ、撤退するべきだ。

 ウクライナ侵攻は1カ月を経過した。プーチン大統領がもくろんでいた首都キエフの早期攻略は、米欧提供の武器を駆使するウクライナ側の抗戦で失敗した。米国防総省の分析では、ロシア軍は武器や燃料、食料の補給が追いつかず、凍傷で離脱する部隊も出てきた。

 将官が次々狙い撃たれている。北大西洋条約機構(NATO)高官は、ロシア軍の死傷者が3万~4万人に上るとの見方を示した。戦況は泥沼化しつつある。

 地上部隊の展開が行き詰まる一方で、長距離砲の無差別爆撃が続く。集合住宅や病院、学校、大型商業施設が標的となり、民間人の死傷に歯止めがかからない。

 攻撃が特に激しい南東部マリウポリでは建物がことごとく破壊され、市民の避難所だった劇場も空爆を受けた。食料や水、医薬品が枯渇し、人道危機が深刻だ。

 両国の停戦交渉は主張の隔たりが埋まる気配がない。ロシアが要求するクリミア領有権、東部の親ロ派支配地域の独立を、ウクライナが受け入れる余地はない。

 バイデン米政権は、ロシア軍が局面打開のために化学兵器を使う恐れが現実味を帯びてきた、と警戒を強めている。今月中旬に関連部隊が東部地域に入った、との情報も英国から伝えられた。

 ロシアは国連安全保障理事会の会合で、米国がウクライナで生物兵器の開発に関与していた―との主張を重ねた。米欧はロシアが自ら使用する口実づくりとみる。

 プーチン氏は核兵器使用も辞さない構えを取ってきた。報道官は「国の存亡に関わる脅威にさらされれば、使用はあり得る」と米メディアに答えている。

 バイデン氏はNATOに続き先進7カ国(G7)、欧州連合(EU)の各首脳会議に臨む。さらなる対ロ包囲網の強化が焦点だ。

 核兵器や生物・化学兵器の使用は、2国間にとどまらない問題となる。あらゆる手だてを想定しておく必要がある。結束して使用を阻止しなくてはならない。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などによると、国外に360万人余が逃れ、国内と合わせ避難民は1千万人を超えた。国民の4分の1に相当する。

 長期の避難生活は避けられないだろう。受け入れ国で就業や教育の機会、医療などが十分保障されるよう、国際社会は連携して支援を進めることが重要だ。

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