ウクライナ侵攻 バイデン・習会談 中国は攻撃停止へ行動を
ロシアのウクライナ侵攻をめぐってバイデン米大統領と習近平中国国家主席が2時間近くにわたってオンライン形式で会談した。
中国による対露軍事支援の可能性に米国が警戒を強める中での会談となった。バイデン氏は中国が「物資の支援」をすれば、対抗して制裁を科す考えを示唆した。
これに対し習氏は経済制裁が強化されれば「世界経済に重大な危機を発生させ、挽回できない損失をもたらす」と主張し、制裁に反対する姿勢を改めて強調した。
制裁に関する両者の溝は埋まらなかったが、外交的な解決を目指すことでは一致した。
バイデン氏は、米欧などが結束して対応している現状を説明し、習氏は「平和のために、建設的な役割」を果たすと約束した。
問われるのは、中国の行動だ。
深刻化するウクライナ情勢について習氏は「中国が目にしたくなかったことだ」と述べた。軍事支援に踏み切ればロシア軍の攻撃が強まり、惨状は広がる恐れがある。
米欧がウクライナに軍事支援するのは不当な侵略に対抗するためだ。中国からロシアに兵器が渡れば侵略者に手を貸すことになる。
米欧などによる対露制裁は、エネルギーなどの価格高騰を招き、中国にも影響が及ぶ。
制裁批判はロシアとの協調を重視するというよりも、自国の利益がそがれることへの警戒心の方が強いのではないか。
300万人を超える難民への支援強化は緊急の課題であり、中国が人道援助を増強する方針を表明したことは評価すべきだ。
しかし、戦闘が続く限り、人道被害は広がり、経済制裁の影響も増大する。中国に対するロシアの支援要請はより強まるだろう。
重要なのは、惨禍を招いているロシアの攻撃を一刻も早くやめさせることだ。それをプーチン露大統領に働きかけることこそが、習氏に求められている。
だが、そうした動きは見せていない。軍事力を振りかざすロシアと、経済力で対抗する米欧の対決の行方を見極めたいのだろう。
自国の損得勘定を優先し、平和の実現に率先して動かないのであれば、国際社会からの信頼は得られまい。中国が望む安定した世界も遠のくばかりだ。
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