PM’s Flower Tribute at Hiroshima: Never Again Can We Allow the Use of Nuclear Weapons

<--

広島、長崎への原爆投下の惨状を知る日本国の首相が取り組むべきは、日本と国民に核兵器が再び使われないように核抑止の態勢を確かなものにすることだ。

その努力なしに「核兵器のない世界」を唱えるだけでは、国民の安全は少しも高まらない。

岸田文雄首相が、米国のエマニュエル駐日大使と被爆地・広島市の平和記念公園を訪れ、原爆資料館を視察し、慰霊碑に献花した。

岸田首相は、ウクライナを侵略中のロシアが核兵器を使用する恐れを指摘し、「核を含む大量破壊兵器の使用は絶対にあってはならない」と語った。

先の大戦で広島、長崎に原爆を投下したのは米国だ。今では同盟国として「核の傘」(核抑止力)を日本防衛に提供している。

エマニュエル氏は言葉を詰まらせながら、深刻な被害を展示した原爆資料館見学を振り返り、「広島ほど世界の平和に重要でふさわしい場所はない」と語った。

2人の広島訪問は、慰霊とともに、日米同盟の結束を確認し、ロシアの核兵器使用に反対する国際世論を高める意義があった。

エマニュエル氏は、バイデン米大統領が来日時に、広島か長崎の訪問を望むとの見方を示した。訪問を実現してもらいたい。

岸田首相は、核から国民の命を守る「現実的な対応」の必要性に言及したが、この一言だけでは伝わらない。核抑止の重要性をもっとはっきり説くべきだ。

核兵器を持つ中国、北朝鮮、ロシアは国際法を無視して恥じない。これらの国々が日本に核兵器を向ける恐れは否定できない。

現代の科学技術では核攻撃を防ぐ確実な方法は見つかっていない。核兵器による反撃力を自国または同盟国が持つことで核攻撃やその脅しに対抗する「核抑止」は極めて重要だ。

ロシアの核の脅威だけではない。北朝鮮は米全土に届く新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、中国は核戦力を急速に増強している。日本の核をめぐる安全保障環境は極めて厳しい。

非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を墨守し、核共有を含む核抑止議論まで否定する思考停止は日本を危うくする。岸田首相と政府には、米国の核の傘が有効に機能するのか検証と対応が求められている。

About this publication