US Soldier Intimidating Reporter at Gunpoint Is a Threat to Press Freedom

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<社説>記者に銃口 報道の自由への威嚇だ

那覇市の米軍那覇港湾施設(那覇軍港)での警備訓練を施設外から取材していた沖縄県の地元紙・琉球新報の写真記者に、米兵が銃口を向けた。

 訓練中とはいえ施設外の民間人に銃口を向けるなど言語道断だ。記者と認識していたなら報道の自由への意図的な威嚇にほかならない。日米安全保障体制の信頼性をも揺るがしかねない事態だ。政府は真相解明と再発防止を、米側に強く申し入れるべきである。

 琉球新報の報道によると、三月三十一日夕、記者が訓練の行われた倉庫の正面で取材中、倉庫から出てきた兵士一人が銃を構えた。記者と目が合うと、銃口を向けたまま数秒間、静止したという。

 米側は、撮影場所と訓練場所とは約二百五十メートル離れていたことから「武器は記者に向けられたものではない」「兵士は銃を持ったまま、体を左右に回転させる標準的な警備を実施していた」「兵士は照準器をのぞいておらず、弾薬は入っていなかった」などと日本側に説明したという。

 しかし、たとえ訓練で弾薬が入っていなかったとしても銃口を向けたことは民間人を敵視し、恐怖を与えることにほかならない。

 ましてや記者と分かって銃口を向けたなら、表現の自由を保障する日本国憲法への重大な挑戦だ。米軍内にいまだに占領軍意識があるのではと疑わざるを得ない。

 理解できないのは、日本政府の対応だ。沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる松野博一官房長官は米側の説明を追認するだけで、問題の重大性を認識し、真相を徹底解明しようとの姿勢はみられない。

 沖縄では、日米合意や日米地位協定を逸脱した垂直離着陸輸送機オスプレイの着陸やヘリコプターのつり下げ訓練などが続く。市民運動を警戒対象とする訓練もあった。こうした米軍の横暴が続けば、日米安保への支持が低下し、機能不全を招きかねない。

 ウクライナを侵攻したロシア国内では、政権に批判的なメディアに対する弾圧が続いている。日米両政府が、報道機関に銃口を向ける米兵を放置するようなら、ロシアを批判する資格はあるまい。

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