Facing the Flaws of the UN Security Council

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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し、国連の機能不全が浮き彫りになっている。

国連憲章は、安全保障理事会を平和と安全を維持することに主要な責任を負う機関としている。

だが、1カ月以上に及ぶ戦闘激化と民間人の犠牲拡大に手を打てずにいる。

当事者のロシアが、安保理の常任理事国として拒否権を行使しているためだ。

第2次世界大戦の反省から創設された国連が、戦争を防ぐ本来の役割を果たせていないことに、世界から厳しい目が注がれている。

「国連を閉鎖するつもりですか」。ウクライナのゼレンスキー大統領は安保理会合で、侵略阻止に動かない国連の改革を訴えた。

侵攻が始まって以降、安保理は10回以上開かれたが、法的拘束力を持つ決議は一度も採択されていない。

米国などが提出したロシア非難決議案は、ロシアが拒否権を行使して否決した。フランスなどが主導した人道状況の改善を訴える決議案も受け入れられず、安保理ではなく総会で非難決議などが採択された。

国際社会の総意を示す意味はあるものの、ロシアへの圧力としては限界がある。

安保理は、第2次大戦の戦勝国である米英仏中ロの5カ国が、拒否権を有する常任理事国として恒久的地位を保障されている。

世界平和の維持には大国が協調して行動することが必要との「大国一致の原則」の考えからだ。

だが、自国の利害に絡んでたびたび拒否権が行使されてきたことから、安保理改革を求める声は以前から根強い。

日本とドイツ、ブラジル、インドの4カ国は、これまで2度、常任・非常任理事国の拡大を掲げた改革案を共同で提出した。

これに対し、常任理事国は既得権益を手放すことに抵抗感が強い。

今回も、米国はウクライナの不満に理解を示すものの、ロシアの立場が「変わるとは思わない」として、現状変更に否定的な姿勢をみせている。

身動きが取れない安保理の存在意義が、根本から揺らいでいると認識すべきだ。

岸田文雄首相は、拒否権の抑制や「新たな国際秩序の枠組み」の必要性にも言及し、国連改革に意欲を示している。戦争阻止を求める多くの国々や国際世論と協調して、国連改革への主導的な役割を果たすことが求められる。

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