バイデン氏の日韓歴訪 対北朝鮮で連携再構築を
日米韓連携の重要性を改めて認識する契機としたい。
バイデン米大統領がソウルで韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談した。バイデン氏のアジア訪問は昨年1月の就任後初めてだ。あすは東京で岸田文雄首相との会談に臨む。
北朝鮮への融和姿勢が目立った文在寅(ムンジェイン)前政権から、安全保障を重視する保守派の尹政権への交代を印象づける会談だった。
米韓両首脳は、合同軍事演習の規模拡大へ向けた協議を始めることで一致した。トランプ前米政権だった4年前の米朝首脳会談後に縮小されていたものだ。
尹氏は会談後の記者会見で「安全保障で妥協はできない」と語り、米国が拡大抑止(核の傘)を提供することの重要性も強調した。
北朝鮮は今年に入って、さまざまなミサイルの発射を繰り返している。バイデン氏の歴訪中に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したり、7回目の核実験に踏み切ったりするのではないかと懸念されてもいる。
そうした挑発を許さないための取り組みが必要である。
記者会見でバイデン氏は、日本を加えた連携が軍事・経済の両面で重要だと強調した。岸田首相とも日韓関係の改善について議論する考えを示した。
念頭にあるのは米中対立の下で重要性を増している経済安全保障だろう。
バイデン氏は今回、日本に先立って韓国を訪問した。同盟重視を訴えて当選した尹氏への期待を示すとともに、国力を強めた韓国により大きな役割を求めるというメッセージである。
韓国の存在感が大きいのは、戦略物資である半導体の生産拠点だからだ。バイデン氏が真っ先に向かったのも、世界最大級とされるサムスン電子の工場だった。そこで力説したのは、価値観を共有する国々で安定したサプライチェーン(供給網)を構築することだ。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けた国際秩序の変動はアジアにも大きな影響を与える。
北東アジアの平和と安定を図っていくために日米韓の果たすべき役割は、かつてなく大きい。まずは対北朝鮮での連携を確固たるものに再構築することから始めるべきだ。
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