US-Japan Summit Demonstrates More Dialogue with China Is Needed

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<社説>日米首脳会談 中国とは対話も重ねよ

ロシアのウクライナ侵攻に世界の耳目が集まる中、中国が米国外交の最優先課題であることを想起させる初のアジア歴訪である。バイデン大統領が韓国に続き日本を訪問した。中国とは対話を重ねて相互理解を深めることも必要だ。

 バイデン氏と岸田文雄首相は首脳会談で、中国やロシアの「力による一方的な現状変更の試み」に反対していく意思を確認した。

 米国は中ロの権威主義国に対抗するため、価値観を共有する自由主義陣営の結束強化に躍起だ。

 二月にまとめたインド太平洋戦略では、安全保障面で同盟国、友好国の役割を統合して中国への抑止力を高めることを打ち出した。米英豪三カ国の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」のように域外の国との連携も進める。

 バイデン氏がアジアへの関与を強める方針を示したことを歓迎したい。ただし、各国ともそれぞれに事情を抱えている。各国との政策調整は入念にしてほしい。

 インド太平洋戦略の目新しい点は、「中国の変革が目的ではない」と、これまでの中国への関与政策を放棄した点だ。経済支援を通じて成長を促せば、中国も民主化へ向かう、という期待が米国にはあった。ところが中国は米国の覇権を脅かす存在にまで巨大化し、対外姿勢も強硬になった。

 それでも対決一点張りの姿勢では困る。気候変動、感染症といった地球規模の課題には中国の協力は欠かせない。

 バイデン氏は岸田氏との共同会見で、中国が台湾に侵攻した場合、軍事的に関与する意向を示した。これは、中国の台湾侵攻時の対応を明確にしない従来の「あいまい戦略」の転換となる。

 不用意な発言が目立つバイデン氏のことなので真意を見極める必要があるし、実際に政策転換ならば丁寧に説明すべきだ。いずれにせよ中国を刺激する発言である。

 抑止力の強化・向上が中国との軍拡競争を招き、緊張を高めないかも気掛かりだ。競争が衝突にエスカレートしないために巧みなかじ取りが求められる。米国は中国との共存を図ってほしい。

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