How Many Mass Shootings Will It Take for Gun Control in America?

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<社説>米の銃乱射事件 悲劇繰り返さぬ対策を

米南部テキサス州の小学校で男が銃を乱射し、児童19人と教員2人が死亡した。

 安全なはずの教育現場で、児童や生徒が殺害される理不尽な事件が後を絶たない。バイデン大統領が「もううんざりだ」と、銃規制強化に決意を示したのは当然だ。

 銃規制の是非は、米国民を二分してきた。合衆国憲法修正2条は、市民が武器を保有し自衛する権利を認めている。

 この権利を守ってきた結果、米国内には人口を上回る4億丁の銃が出回り、今回のような惨事が相次いでいる。

 銃規制反対派も異常な現実を受け止めるべきだ。悲劇を繰り返さないために、銃に頼らずとも安全が確保される対策を講じていく必要があろう。

 事件に使われたのは、殺傷能力が高い半自動ライフル銃だ。18歳になったばかりの容疑者が合法的に購入できたのは驚きだ。

 銃規制賛成派は「銃があるから危ない」と考え、殺傷能力が高い銃の保有は自衛の範囲を超えると主張する。反対派は「銃を所持するからこそ安全が守られる」として、いかなる規制にも反対する。

 銃擁護のロビー団体、全米ライフル協会(NRA)は事件後、同州で年次総会を開いた。出席したトランプ前大統領は「全ての学校に警察官や武装した担当者を常時置くべきだ」と主張した。

 銃の危険性に銃で武装して対応しても根本的解決には程遠い。

 米国では年間3万人以上が銃によって命を落としている。

 銃乱射事件の記録サイトによると、4人以上が撃たれた事件は昨年818件あり、920人が死亡した。今年は既に260件以上発生し、死者は300人を超えた。

 見逃せないのは、移民排斥や人種差別の「憎悪犯罪」に絡む事件が目立つことだ。

 今月中旬には東部ニューヨーク州のスーパーで、白人至上主義者の男が10人を殺害した。銃撃した13人のうち11人が黒人だった。

 米国が他国に人権の重要性を訴えても、自国民の人権を守れないようでは説得力を欠く。

 バイデン氏は、銃販売時に身元確認を強化したり、殺傷能力が高い銃を規制したりする法制定を米議会に求めている。だが、与野党の勢力は拮抗(きっこう)しており、法案が通る見通しはつかないのが実情だ。

 オーストラリアやニュージーランドは銃規制を進め、銃による事件が減るなど成果を上げた。米国は参考にすべきだろう。

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