Japan-US-South Korean Leadership Summit: Hoping To Repair Relationships and Increase Deterrence

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日米韓首脳会談 関係再構築し抑止力高めたい

日米韓の協力が滞っていては、挑発を繰り返す北朝鮮に対し、効果的に対処できまい。対話の再開を契機に、協調して抑止力を高めるべきだ。

 日米韓3か国の首脳がマドリードで会談した。北朝鮮の核・ミサイル開発が国際社会の深刻な脅威であるという認識で一致し、3か国の安全保障協力を推進する方針で合意した。

 日米韓首脳会談の開催は、約5年ぶりだ。以前は国際会議を利用して開くことが多かったが、韓国の前政権が反日姿勢を強めたことで、見送られてきた。今回は、日韓関係の改善を強く求めるバイデン米政権が主導し、実現した。

 会談はわずか20分間だったが、アジアの平和と安定に責任を持つ3か国の指導者が、安保環境について懸念を共有したことは、一定の前進と言える。首脳会談を重層的な協議につなげ、防衛協力の水準を上げていくことが大切だ。

 北朝鮮は今年に入り、ミサイルを17回発射した。変則的な軌道で飛ぶミサイルや、極超音速型と呼ばれる高性能ミサイルが含まれている。いずれも、現在の防衛システムで撃ち落とすのは難しい。

 脅威の高まりにどう対処するのか。3か国の防衛当局間で意思疎通を重ね、防衛や反撃のあり方を検討する必要がある。

 3か国のイージス艦が参加するミサイルの探知・追尾訓練は、6年間行われていない。訓練を再開し、即応能力を維持したい。

 日韓間で機密情報を共有する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を有効に活用し、情報交換の体制を整えることは、日米、米韓の同盟を円滑に機能させることにつながるだろう。

 中国は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議を無視し、北朝鮮の出稼ぎ労働者を受け入れているとされる。海上での密輸行為への関与も指摘されている。

 安保理の常任理事国である中国が、制裁の抜け穴になっている現状は許し難い。日米韓が結束し、制裁決議の完全な履行を中国に求め続けねばならない。

 日米韓首脳会談に先立ち、首相と、5月に就任した尹錫悦韓国大統領は短時間、会話を交わした。首相は「厳しい日韓関係を健全な関係に戻すため、尽力してほしい」と述べ、尹氏は「懸案を早急に解決する」と語ったという。

 日韓関係の本格的な改善には、元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)や元慰安婦の問題について、韓国側が国際法にのっとり、適切に対応することが不可欠だ。

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