Successive Mass Shootings in the US: Drastic Regulations To Overcome Tragedy

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米で相次ぐ銃乱射 抜本規制で悲劇断ち切れ

米国で最も重要な祝日である独立記念日の4日、またしても銃による凶行が繰り返された。

中西部イリノイ州シカゴ郊外で、男が高性能小銃を無差別に発砲し、6人を殺害した。

非営利団体の集計によると、米国での乱射事件は、今年に入り309件目だ。痛ましい銃犯罪が後を絶たない米国の現状を深く憂慮する。

バイデン大統領は6月25日、全米各地で続発する銃乱射事件に対する世論の怒りを背景に、28年ぶりの本格的な銃規制新法に署名し、成立させたばかりだった。

銃規制新法が実現したのは、本来は米国憲法に明記された銃保有の権利を擁護する立場から銃規制に慎重な共和党の中から、上院で15人、下院で14人の議員が賛成に回ったためだ。

野放図な銃犯罪を何とかすべきとの切実な声に押されて超党派の新法が実現したことで、米国の宿痾(しゅくあ)といえる悲惨な銃犯罪が少しでも減ることが期待されている。

「私たちの子供を守る法」と名付けられた新法は、21歳未満の銃購入者の犯罪歴や精神疾患の病歴などの調査を強化した。自他に危害を加える恐れのある人物から銃を没収できる「レッドフラッグ(危険信号)法」を導入する州への財政支援も盛り込まれた。

だが、バイデン氏が議会に求めていた、殺傷力が高いアサルト・ウェポン(攻撃用銃器)の販売禁止や、銃購入年齢の18歳から21歳への引き上げといった抜本的な措置は含まれなかった。

バイデン氏は4日、「愚かな銃犯罪に衝撃を受けている。蔓延(まんえん)する銃暴力との戦いを諦めない」と述べ、銃規制のさらなる強化に取り組んでいく姿勢を示した。

だが、前途は険しい。

共和党としては、銃規制強化に舵(かじ)を切り過ぎれば支持層が離反するリスクを負う。銃器業界の意向を体現する「全米ライフル協会」(NRA)などのロビー団体が共和党議員らへの献金を通じて規制強化の阻止を図るのは必至だ。

連邦最高裁では、保守派の判事が多数を占め、銃の携行を制限する州法に違憲判決を下す事態が起きている。

米国人の生命を守ることは党派を超えた政治の責務だ。大統領と議会は銃による悲劇の連鎖を断つため、真に実効性のある銃規制の実現に邁進(まいしん)してほしい。

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