Pelosi’s Visit to Taiwan Shows the Need To Avoid Raising Tensions

OPD 4 August 2022, edited by Michelle Bisson

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<社説>ペロシ氏訪台 緊張高める行動回避を

ペロシ米下院議長が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談した。正副大統領に次ぎ米国ナンバー3の下院議長の訪台は25年ぶりだ。

 中止を再三要求した中国は強く反発し、台湾を取り囲む6カ所の空海域で、きょうから大規模な軍事演習を行うと発表した。

 米軍は既に空母打撃群をフィリピン沖に展開している。

 米中の対立が深まれば、偶発的な衝突につながりかねない。双方とも過剰な対応は控えるべきだ。

 訪台の背景にはロシアのウクライナ侵攻に対する米国の抑制的な姿勢がある。台湾有事の際、米国が介入を控えるのではないかとの懸念が台湾内に広がった。

 対中強硬派で知られるペロシ氏は蔡氏との会談で「私たちは台湾への責任を放棄しないと明確にするため訪れた」と述べた。

 バイデン大統領が訪台中止を強く求めた形跡はない。米議会内も、香港市民やチベット族、ウイグル族に対して迫害を強める中国への反発があり、台湾支持は超党派で一致している。

 人権を巡る国民の政府批判を力で抑え付ける強権姿勢が、米国内の台湾支持を広げていることを、習近平政権は深く認識すべきだ。

 ただ米国は、中国本土と台湾は不可分だとの中国の立場に異を唱えない「一つの中国」政策を維持してきた。バイデン大統領は先週の電話首脳会談でも確認した。

 この直後のペロシ氏訪台によって、習主席はメンツをつぶされた形となった。

 習氏は今秋の共産党大会で異例の3期目入りを目指しており、中国は政治的に敏感な時期に入っている。対米強硬姿勢は国内向けに示す意味もあろう。

 台湾問題は日本の安全保障にも関わる。米国も緊張を高めぬよう慎重な対応を尽くすべきだ。

 とはいえ、武力による中台統一も辞さない中国の姿勢は見過ごせない。中国が言う「平和統一」の見通しが付かないのだろう。国際社会が警戒するのは当然だ。

 「一つの中国」を巡り米中に思惑の違いがあるようだ。米国が台湾の自由を尊重するのに対し、中国は「内政干渉だ」と反発する。

 米中両政府は対話のパイプを維持し、対面による首脳会談を早急に実現して、決定的な対立を回避する必要がある。

 軍事演習は一部、日本の排他的経済水域(EEZ)が含まれており、日本は中国に懸念を伝えた。日中ともに関係を悪化させない外交努力が求められる。

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