<社説>北ミサイル発射 日米韓連携で抑止図れ
北朝鮮が発射した弾道ミサイルは日本列島上空を通過し、鉄道ダイヤが一時乱れるなど広範囲で影響が出た、札幌市。市民を不安に陥れる許しがたい行為だ。発射実験の即時停止を求める。日本政府は米国、韓国との連携を強化するなど北朝鮮の動きを封じるために全力を挙げねばならない。
米韓両軍は九月下旬、日本海で大規模な合同訓練を行い、その後日本を加えた三カ国で対潜水艦作戦の共同訓練も実施した。北朝鮮の相次ぐミサイル発射には自らの能力を誇示し、日米韓の動きをけん制する狙いがあるのだろう。
北朝鮮は国防力発展五カ年計画に基づきミサイルの高度化、多角化を図ってきた。今回のミサイルは過去最長の四千六百キロ飛行したとみられ性能向上を裏付けた。技術の進歩は著しく、発射の方法も多岐にわたり迎撃は難しい。
日米韓の防衛当局は情報を共有してミサイル発射の予兆や軌道など正確な把握に努めてほしい。
見過ごせないのは異常ともいえる発射ペースだ。今年に入りミサイル実験は二十回以上、直近十日間では計五回にも及ぶ。
日米韓など国際社会と対話を始めるための条件整備なのか、食糧難など内部の不満をそらすためなのか。北朝鮮の意図を慎重に見極める必要があるだろう。
さらに、北朝鮮が来月にかけて七回目の核実験を強行するとの見方も広がっている。新たな核実験は朝鮮半島を巡る情勢を一層不安定にしかねない。
さらに北朝鮮は自国を「核保有国」と規定し、核兵器の使用条件を定める法令を採択した。体制維持のためには核を先制使用することを明確にした内容であり、核戦争を誘発する懸念もある。
北朝鮮の危険な挑発には、日米韓をはじめ国際社会が結束して封じ込めを図る一方、対話の糸口を見つけ出すよう努めるべきだ。隣国の中国にも、事態を傍観せず、伝統的友好国の北朝鮮を説得し、挑発をやめさせる責任がある。
岸田文雄首相は防衛力の抜本強化を表明しているが、対話を通じて北朝鮮を国際社会に引き戻す努力を怠ってはならない。
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