Major Security Transformation and US-Japan Integration: Military Base Burden Only Grows

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[安保 大変容 日米一体化]基地負担は増すばかり

日米の防衛面での一体化が急速に進んでいる。

日米同盟を巡って、「巻き込まれる」ことを警戒したり「見捨てられる」ことを懸念するような議論は、あまり聞かなくなった。

 現実がそのずっと先を行ってしまったのだ。

 昨年3月、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は上院軍事委員会で証言し、「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と時限を設定して台湾有事の可能性を示唆した。

 米軍だけでは増強著しい中国に対抗することはできない。米軍が当てにしているのは自衛隊であり、日本の防衛力強化である。

 安倍晋三元首相は昨年12月、台湾で開かれたシンポジウムにオンラインで参加し、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と強調した。

 中国の軍備増強と海洋進出に対して日米が一体となって対抗し、有事の際には日米が共同作戦を展開する-そのようなシナリオが国会論議も深まらないまま、自明のこととして語られ始めている。

 自衛隊は奄美・沖縄本島・宮古・石垣・与那国の島々に対空・対艦ミサイルと地上部隊の配備を進めている。

 米軍が自衛隊の駐屯地を共同使用し、日米が有事を想定した共同訓練を重ねる。沖縄の戦場化をも想定した作戦計画が練られているのである。

 米国と日本は、中国の軍備増強に対しては危機感を共有しているが、国家目標や国益が完全に一致しているわけではない。

 日米同盟の強化を優先することで外交の選択肢を狭める恐れはないのか。

 軍事抑止力を強化することが中国の対抗措置を招き、結果として自国の安全を損ねるという「安全保障のジレンマ」に陥る懸念はないのか。

 中国のミサイル増強に対抗するため、自衛隊が長射程の巡航ミサイルを導入したり、国産ミサイルを改良して射程を伸ばした場合、ミサイル軍拡競争の引き金を引くことにならないか。

 米国が計画通りこの地域に中距離弾道ミサイルを配備した場合、中国は間違いなく対抗措置を講じるであろう。

 戦争違法化の流れがせき止められ、世界的に軍備増強の動きが強まっている。日本はその動きに待ったをかける役割こそ果たすべきだ。

 私たちが最も危惧するのは、沖縄の負担軽減が実現されないまま吹き飛び、軍事要塞(ようさい)化することによって相手国からミサイル攻撃を受け、再び戦場になってしまうことだ。これが沖縄の最悪の未来図である。

 軍事抑止力を強めるだけでは、かえって地域の緊張を高めることになりかねない。

 政府自民党は、危機感をあおることで防衛力増強を正当化し、南西諸島のミサイル要塞化を推し進めているようにも見える。何よりも求められるのは、国会において徹底して議論することだ。

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