バイデン政権2年 党派対立超え外交進めよ
バイデン米政権は発足2年となった。昨年11月の中間選挙の結果を受けて今月3日に始まった議会の新会期では、与党の民主党が下院で少数派に転落した。
下院の過半数を奪還した野党共和党との攻防が激化する中で心配するのは、同盟重視を掲げて中国やロシアなどの専制主義体制に対峙(たいじ)するバイデン政権の外交政策に、共和党の保守強硬派が唱える「米国第一主義」の主張が足かせとなることだ。
強硬派は共和党の下院議員のうち数十人に過ぎないが、下院における影響力は拡大している。
共和党は先の中間選挙で下院定数435の過半数をわずかに上回る222議席の獲得にとどまったことで、強硬派の発言力が相対的に高まっているためだ。
共和党のマッカーシー氏が下院議長選挙で15回もの投票を経て議長に選出されるという歴史的混乱も、新議長を「民主党に融和的」とみる強硬派が最後まで頑強に抵抗したことによる。
そのマッカーシー氏は議長就任前、ロシアに侵略されたウクライナへの軍事支援で「白紙の小切手は切らない」と述べ、支援拡大に慎重姿勢を示したことがある。強硬派は「支援の即時停止」を強く主張している。バイデン政権が主導するウクライナ支援の国際連携が国内の政争で根底から覆されれば、米国の国際的威信が傷つくことは避けられない。
一方で対中政策では、下院は中国との経済や軍事をめぐる戦略的競争に向けた特別委員会の設置を与野党の賛成多数で決めた。
対中政策は、現在の米議会が超党派で合意できる数少ない政策課題だ。党派的思惑に左右されることなく、米国として強力な対中政策を遂行してもらいたい。
バイデン大統領をめぐっては、トランプ前大統領と同様に機密文書を持ち出していたとして司法省が自宅を捜索した。息子のハンター氏による脱税疑惑もある。
共和党は来年の大統領選への再選出馬が取り沙汰されるバイデン氏を追い落とそうと、これらの問題を厳しく追及するだろう。
疑惑が解明されるべきは当然だが、共和党が党派的思惑から内向きの政争に終始すれば、中露に付け入る隙を与える。
激動する国際情勢を前に、米国が内輪もめにうつつを抜かす余裕はないはずだ。
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