バイデン氏出馬へ 外交競い合う大統領選を
バイデン米大統領(民主党)が来年11月の大統領選に再選を目指して出馬すると表明した。
党の正式候補になるには予備選挙・党員集会を勝ち抜く必要がある。ただ、党内はバイデン氏への支持でほぼ一致しており、現時点では、来年8月の民主党全国大会で党候補に指名される公算が大きい。
一方、バイデン氏は現在80歳で、歴代の大統領で史上最高齢の記録を更新し続けている。再選された場合、2025年1月の2期目就任時には82歳、4年間の任期を全うすれば86歳になる。
高齢に起因する判断力の低下や激務に耐え得る健康状態の維持について懸念する声は根強い。
大統領は米軍の最高司令官でもあり、核兵器使用の決断を国民に委ねられている。バイデン氏は今後の選挙活動や日常の執務を通じて、健康をめぐる不安の一掃に努めることが欠かせない。
政権奪還を目指す共和党は、バイデン氏の息子、ハンター氏が海外企業から受領した多額の報酬をめぐる疑惑を追及する構えだ。
疑惑の実態には不明な部分も多いが、バイデン氏は自らの説明責任を果たさなくてはならない。
米大統領選は内政問題が主な争点になりやすい。だが、ロシアがウクライナを侵略し、中国が台湾への軍事的圧力を強める中、来年の大統領選では外交・安全保障問題も重要な争点として扱われることが望ましい。
中露など専制主義勢力が自由主義や法治主義、民主的価値観を脅かす中、米国の一部では孤立主義的な主張が勢いを増している。
そうした中でバイデン氏は、ウクライナに対する「揺るぎない支持」を表明している。ただ、F16戦闘機などの高性能兵器の供与を求めるウクライナとの間で綱引きとなっている。
共和党では、返り咲きを狙って大統領選への出馬を表明したトランプ前大統領が米国による巨額のウクライナ支援を「不公平だ」と断じた。出馬が有力視されるデサンティス・フロリダ州知事も、ウクライナ情勢を「領土紛争だ」と述べ、ロシアによる侵略を軽視するかのような姿勢をみせた。
米国は専制勢力に対抗して自由陣営をリードする立場にある。民主、共和両党とも、誰が正式候補になるにせよ、その責任を自覚して選挙に臨んでもらいたい。
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