Free Rides To Prevent Criminal Records and the Broken Window Theory, Unacceptable Fee Increases

<--

前科にならない無賃乗車と「割れ窓理論」 納得いかない料金値上げ

通勤に利用する地下鉄駅で、改札をひょいひょいと乗り越えていく人々をよく見かける。あまりに堂々とした無賃乗車がなぜまかり通るのか、不思議だった。

首都ワシントンは約5年前、条例改正で無賃乗車を刑事罰の対象から除外した。首都圏の人口構成は黒人系が40%超と最も多い。軽微な罪であっても前科がつくことが、検挙される割合が高い黒人の就業や「脱貧困」を妨げている-というのが改正の理由だった。

その結果、無賃乗車が増加した。運営会社の罰金制度はあるが、効果は限定的だ。知人の警官は「子供の通学パスを親が使い、子供は無賃乗車するケースも多い」と教えてくれた。バス事業を含む被害額は年間4千万ドル(約57億円)にも上るそうだ。

地下鉄での暴力事件なども増加傾向にある。割れた窓ガラスを放置しておくことが犯罪の横行や地域の荒廃を招く-とする「割れ窓理論」を思い出す。

このため運営会社は、最近、改札を乗り越えられないように強化プラスチック製のゲートを設置すると発表した。それには3500万ドルの追加コストがかかるのだという。

その一方で乗車料金が改定され、私の利用区間では15%ほど値上がりしてしまった。納得いかないのは私だけではないと思う。(大内清)

About this publication