A Railroad Trip That Passes through Time

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時を超えた鉄道の旅

8月下旬、2024年大統領選に向けた共和党候補者討論会が行われた中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーへ鉄道で向かった。乗り継ぎを含めて片道20時間はかかる。

通過点の東部ペンシルベニア州で乗り込んできたのは、米西部開拓期にほろ馬車で旅する家族を描いた往年の名ドラマ「大草原の小さな家」から抜け出てきたような一家だった。男性は麦わら帽子に大きなあごひげ姿。女性は古風なドレスにボンネット(婦人用帽子の一種)を着けている。彼らとは終点まで乗り合わせることになった。

米東・中西部には「アーミッシュ」「メノナイト」といったキリスト教再洗礼派(アナバプテスト)のコミュニティーが散在する。欧州(主にドイツ語圏)から移住した17~18世紀当時の生活様式を守り、移動は馬車のみという人々も多い。英語ではなく、複数のドイツ語方言が混交した「ペンシルベニア・ダッチ」と呼ばれる言葉を日常的に使い続けている。

この一家は、鉄道を利用していることからも、ある程度の「文明の利器」は許容していることが分かるが、話している言葉はちっとも理解できなかった。

鉄道でなければ、こんな異文化体験をすることもなかっただろう。米国の広さを実感する貴重な機会となった。

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