American Giant Tech Companies Tap into Competition in the Era of AI

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[社説]AI時代の競争に入った米巨大IT企業

米巨大IT企業の2023年10〜12月期決算が出そろった。多くの企業が2ケタの増収を確保するなか、人工知能(AI)関連の事業をいち早く開拓したマイクロソフトの好調ぶりが目立った。その半面、スマートフォンが伸び悩むアップルが停滞した。

世界のテクノロジー産業に大きな影響力を持つ巨大IT企業の主戦場がスマホからAIに移り変わったと認識すべきだ。

マイクロソフトの売上高は前年同期に比べて18%増え、四半期として過去最高を更新した。文章や画像を自動で作る生成AIサービスの収益化をライバルに先駆けて進めた。

アップルの増収率は2%にとどまり、巨大IT企業のなかで唯一、2ケタ増収を逃した。発売から16年が経過した「iPhone」が頭打ちになっている。

株式市場でもAI市場拡大の期待からマイクロソフトの株価が上昇している。足元の時価総額は3兆ドル(約440兆円)を超え、これまでの世界最大だったアップルを上回っている。半導体でもAI向けで高シェアを持つエヌビディアの好業績が続いており、時価総額は1兆6000億ドルを超えた。

AIへの取り組みが業績や株価を押し上げる要因になっていることを日本企業も認識する必要がある。AIを事業に生かし、世界に比べて遅れたデジタル化で巻き返す契機にしたい。

特に少子高齢化が進む日本では生産性の向上が喫緊の課題だ。AIをうまく活用すれば社会問題の解決と新市場の開拓につながる。自動運転による物流の効率化やロボットによる省力化などで世界に先んじたい。

生成AIの普及からまだ1年強で、本格的な市場拡大はこれからだ。スマホが有力アプリを育む事業基盤になったように、AIを応用するアプリやサービスも増えるはずだ。日本を含む世界のスタートアップのチャンスも広がる。

とはいえ、AIのデータを処理するクラウドコンピューティング市場でマイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、グーグルといった巨大IT企業の支配力が増していることは気がかりだ。

市場が拡大するほど、これらの企業がクラウドでもうける構図が強まっている。各国の規制当局は、AI時代の健全な市場競争を保つための監視を強化していく必要がある。

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