Leading Nippon Steel’s Acquisition of US Steel to Success

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[社説]日鉄のUSスチール買収を成功に導け

日本製鉄が2023年末に発表した米USスチールの買収計画に、米国で反発が広がっている。全米鉄鋼労働組合(USW)が買収に反対の方針を表明し、トランプ前大統領は「私なら即座に阻止する」と言明した。

だが、この再編劇は米国にとっても経済的なメリットが大きいはずで、日米の産業協力のシンボルにもなり得る。

いたずらに政治問題化して騒ぎが広がるのは、だれにとっても得にならない。日鉄とUSスチールの経営陣は労組をはじめとするステークホルダーに再編の意義や経営方針を丁寧に説明し、買収を成功に導いてほしい。日米両国政府もそれを後押しすべきだ。

日鉄は電気自動車(EV)向けに需要拡大が期待される電磁鋼板など先端分野の技術蓄積が厚く、買収が完了すれば、その技術をUSスチールの生産拠点にも移植する計画だ。中国勢と激しく競い合うEVについて米国のサプライチェーンは強化され、米国製造業全体の実力の底上げにつながる可能性もある。

競争政策の視点からしても、米国企業同士の合併や再編は鋼材市場の寡占化をもたらし、自動車などの需要家が不利益を被る恐れがあるのに対し、日鉄の米国市場での存在感はそれほど大きくなく、競争環境は保持される。

さらに日米両国は親密な同盟国であり、経済安全保障上の懸念もないはずだ。米中対立が深刻化するなかで、先端の半導体技術の輸出管理などをめぐって米政府は日本にも同一歩調を取るよう要請している。

半導体では協力を求めながら、鉄では日本企業というだけで排除するようなちぐはぐな展開になれば、日米協力は円滑に進まない。米国の官民はこうした点も考慮に入れ、合理的で冷静な判断を下してほしい。

日鉄もUSWとの対話や説得をUSスチール側に丸投げせず、自ら乗り出すべきなのはいうまでもない。

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