Concerns about President Biden’s ‘America First’ Policy

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[社説]バイデン大統領の「米国第一」も心配だ

民主主義と自由を守るために米国は戦う。現職の大統領がこう力強く宣言したことには勇気づけられる。半面、自国を優先する内向きの論理が一部に根強い点に不安を覚えたのも事実である。

バイデン米大統領が連邦議会の一般教書演説に臨んだ。演説はこの先1年間、どんな政策に取り組むかを議会に伝えるのが目的だ。今回は11月の大統領選に向け、共和党候補の指名を確実にしたトランプ前大統領への対決色を鮮明にしたのが最大の特徴だった。

「自由と民主主義が国内外で同時に攻撃を受けている」。バイデン氏はウクライナ侵攻を続けるロシアと、2020年大統領選の結果を否定するトランプ氏を同列に並べて批判した。

バイデン氏がウクライナ支援を継続するための予算成立に共和党の協力を呼びかけたのは当然だ。米国が手を引けば、バイデン氏が言うように危険にさらされるのはウクライナだけにとどまらない。

演説の場には、北大西洋条約機構(NATO)に正式加盟したばかりのスウェーデン首相の姿もあった。防衛費の負担が不十分なNATO加盟国を守らない可能性に言及したトランプ氏と好対照を打ち出す演出といえる。欧州諸国も安心したに違いない。

気がかりなのは、産業・通商政策での変わらぬ保護主義的な姿勢だ。自国の製品を優遇する「バイ・アメリカン」の政策が成功していると自賛したことが、それを象徴する。中国に対する貿易赤字が減ったと誇示したのもトランプ氏をほうふつとさせる。

バイデン、トランプ両氏は世界の安定に米国が果たす役割や民主主義に関する見解は大きく異なるが、経済政策が自国優先の色彩をまとう点は共通する。バイデン氏が再選すれば、こうした政策が続くのは間違いない。

バイデン氏が演説で日米同盟の強化に触れたのは歓迎したい。同時に通商国家として繁栄を享受してきた日本は、米国が背を向ける自由貿易を守る覚悟も試される。

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