Reinstating the Osprey: High-Handed Dismissal of Citizen Anxiety

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オスプレイ再開 住民不安軽視の強引さ

在日米軍に続き、陸上自衛隊は木更津駐屯地(千葉県木更津市)に14機を暫定配備している輸送機V22オスプレイの飛行を再開した=写真。昨年11月、米空軍CV22が鹿児島県沖で墜落した後、日米ともに飛行を中断。米軍は今月14日、飛行を再開していた。

 飛行再開に当たり、事故原因の詳細は明らかにされていない。オスプレイは基地周辺だけでなく、幅広い地域を飛ぶ。住民の不安を軽視したまま飛行を再開することはとても許容できない。

 米軍は事故原因を「特定の部品の不具合」とし、安全対策も講じたとするが、部品名や不具合の内容を公表していない。日米両政府はオスプレイの設計や構造に問題はないとの立場を示し、日本政府は米軍から詳細な説明を受けたとして飛行再開を追認した。

 なぜ事故原因を詳しく公表しないのか。調査継続を理由とするなら、飛行再開は調査終了と結果公表後にするのが筋ではないか。

 事故原因の詳細に触れず、関係自治体に「丁寧に説明」(木原稔防衛相)できたはずがない。日本政府は住民への説明を尽くすよう米軍に迫るべきではないか。米軍と一緒に飛行再開を急ぐのは、安全軽視とのそしりを免れない。

 事故原因と対策を詳細に説明しないまま飛行を再開したことにより「欠陥機」との疑念は一層深まり、配備地域の不安も高まることは避けられない。米軍施設が集中する沖縄県の玉城デニー知事が「到底納得できない」と反発するのは当然だろう。

 政府は、オスプレイが機動力と航続距離に優れ、範囲が広い南西諸島の防衛や災害救援などに欠かせないというが、内外で事故が繰り返され、その安全性は米下院委員会でも疑われている。

 日本国内では沖縄だけでなく、首都圏を含む市街地でも訓練飛行が行われている。基地周辺に限らず多くの住民に不安を残したままの飛行再開は日米安全保障条約体制の信頼性をも損ないかねない。

 日米両政府は飛行再開よりも事故原因の調査と公表、安全対策の徹底を最優先すべきだ。機体に欠陥があるのなら配備自体を見直す勇気も持たねばなるまい。

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