ガザ戦闘半年 安保理決議に従い停戦を
死者は3万人を超えた。食料や医療が枯渇し、人道危機は深刻の度を増す。交渉中の休戦を実現し、一日も早く戦火を終息させたい。
パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まって、あすで6カ月を迎える。
戦火はやまぬばかりか、拡大する恐れも出てきた。イスラエルの隣国シリアにあるイラン大使館の建物が1日に空爆を受け、イラン革命防衛隊の将官や市民が死亡した。イランの最高指導者ハメネイ師はイスラエルの犯罪と断じ、報復を宣言した。
ハマスを支援するイランが参戦する事態は絶対に阻止しなければならない。そのためにもガザでの戦闘を早く止める必要がある。
停戦を求める国際社会の声は高まっている。国連安全保障理事会は3月、イスラエルとハマスに即時停戦を求める初の決議案を採択した。
決議案には安保理の理事国15カ国のうち14カ国が賛成した。過去4度にわたり、拒否権を行使して停戦決議案を葬り去った米国は、棄権して採択を黙認した。
イスラエルの後ろ盾である米国も、国際社会の厳しい目を意識せざるを得なくなったのだろう。
安保理決議に従うのは国連加盟国の責務だが、イスラエルは強く反発し、無視を決め込むようだ。国際社会からの非難を一顧だにせず、ガザ最南部ラファへの地上侵攻を計画している。
ラファには逃げ場を失った約150万人の避難民が密集する。攻撃が開始されれば、多数の避難民の命を危険にさらすことになる。
エジプトなどの仲介で戦闘休止に向けた双方の間接交渉が再開されたのは、ラファ侵攻間近とみられるぎりぎりのタイミングだった。
休戦案は、6週間の戦闘休止期間にハマスが人質40人を解放するなどの内容という。ハマスは恒久停戦やイスラエル軍の撤収を要求している。イスラエルは休戦後の戦闘再開を主張しており、双方の溝は深い。
ガザ市民の命を救うため、仲介国には粘り強い交渉を望む。安保理決議の採択で国際社会と協調した米国は、さらに強い姿勢でイスラエルを説得すべきだ。
ハマスの決断も不可欠だ。停戦を実現したいなら、100人を超す人質全員を解放しなければならない。
ガザはイスラエルに補給路を制限され、子どもが飢えや栄養失調に苦しんでいる。現状の改善に国際社会の一層の努力を求めたい。
日本はガザを含むパレスチナの難民を支援する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に対し、資金拠出の再開を決めた。
日本政府は最大の拠出国である米国にも再開を促すべきではないか。同盟国として、戦闘終結へ積極的に動くように働きかけてもらいたい。
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