Gaza Anti-War Demonstrations: Do Not Dismiss Anger of Youth

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<社説>ガザ反戦デモ/若者の憤りを軽視するな

米国の大学で学生の反戦デモが広がり、2千人超の逮捕者が出る事態となっている。

 封鎖され、逃げ場のないパレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの無差別的な攻撃が止まらない。ガザの保健当局によると、これまでに3万5千人以上が死亡した。犠牲の大きさに慄然(りつぜん)とする。

 「大量殺りくをただちにやめろ」と訴える学生に共鳴する人は多い。イスラエルへの抗議活動は、フランス、イギリス、オーストラリアなど世界各地に拡散した。神戸市でも街頭で反戦を訴える人がいる。いずれも若者が中心だ。

戦闘を止められない国際社会に対する強い異議申し立てでもある。重く受け止める必要がある。イスラエル軍は、ガザ最南部ラファへの本格侵攻へ向け部隊を集結させたといわれる。米国をはじめ、日本を含む各国政府は、一刻も早い停戦のために力を尽くさねばならない。

 4月中旬、コロンビア大学で、学内にテントを張り抗議する「ガザ連帯キャンプ」が始まり、全米に広がった。停戦を働きかけつつイスラエル擁護を変えないバイデン政権に「ノー」を突きつけた。

 こうした行動をユダヤ人排斥の「反ユダヤ主義」とする短絡的な見方は看過できない。差別が許されないのは当然だが、良心から停戦を求める学生へのレッテル張りは、対立をあおるだけだ。

 学生が掲げる項目の一つが「ダイベスト(資金の引き揚げ)」である。米国の多くの大学は、卒業生などからの寄付金を運用して運営資金に充てる。そのため、イスラエルと関係する企業への投資をやめるよう要求している。

 米メディアによると、ノースウェスタン大学は、投資先の情報開示に努めることなどで学生と合意し、デモ隊はテントを撤去した。権力にたのまず、いかに対話で問題を解決するか。大学として民主主義に向き合う姿勢も問われる。

 バイデン大統領は学生デモについて「抗議する権利はあるが、混乱を引き起こす権利はない」と述べた。突き放されたように感じた学生は多いはずだ。秋の大統領選で再選を目指す政権にとって、若者の支持離れが脅威になりかねない。

 そうした状況への危機感もあるのだろう。バイデン氏は、ラファに侵攻すれば「武器を供与しない」とイスラエルに警告した。ブリンケン米国務長官はガザ侵攻について「国際人道法にそぐわない」と発言した。

 ガザの惨状には米国も責任を負う。強硬姿勢を崩さないイスラエルへの軍事支援を直ちにやめ、政治的な圧力を強めるべきだ。

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