President Barack Obama, This Time, I Want to See a Liberal Revolution

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社説:視点 オバマ米大統領 今度はリベラル革命を見たい=論説委員・中井良則

 私たちは二つの米国を見ている。民主党と共和党の溝は大統領選の投票日より深まっているようだ。その対立は政府の役割をめぐる保守とリベラルの思想の違いに根差している。

 先週、オバマ大統領の議会演説後、共和党代表のジンダル・ルイジアナ州知事が反論した。

 「結局のところ、政府の正しい役割とは何かについて基本的に意見が合わない。政府への依存を高めれば米国は強くなるという民主党には反対だ」

 ここには、連邦政府への強烈な不信がある。個人の自由な経済活動を擁護し、弱者保護や規制といった政府の役割には期待しない。自己責任、自由競争、小さな政府。経済危機に直面する今も、保守主義こそ共和党がよって立つ哲学なのだ。

 オバマ氏は当選後、中道にシフトし共和党に手を差し伸べた。就任演説では「政府が大きいか小さいかではなく、ちゃんと働いているかを問うべきだ」と「大きい政府」論をしりぞけた。いずれも、超党派の団結という美しいことばのためだが、果実はなかった。

 景気刺激予算に下院の共和党全員が反対し、上院で賛成したのは3人だけだ。大統領の進路に、議会共和党が立ちふさがる構図が早くもできてしまった。

 現実主義者だ、プラグマティストだとオバマ氏を規定する人は多い。定説に反するようだが、この人はリベラルだと私は見る。たとえば、最初の記者会見(2月9日)で、政府の介入を掲げた。「われわれがこの(経済危機)問題を解決できると確信している」「経済に需要をもたらすのは政府の大事な要素だ」「政府が何もしなくていい、という選択肢は私にはない」

 80年代の保守革命で米国を変えたレーガンはいった。「政府は問題の解決策ではない。政府こそ問題だ」。危機を引き継いだオバマ氏の発想は正反対だ。「政府が問題を解決する」

 共和党への譲歩は反対派を包み込む民主主義のコストとして大事だろう。だが危機解決には「オバマ版リベラル革命」に踏み込む時ではないか。大統領選の出口調査ではリベラルと自任する有権者(全体の22%)の9割、穏健(44%)の6割、保守(34%)の2割の支持を集めオバマ氏は当選した。リベラル・穏健派連合の支えがある間に、米経済が復活しなければ、世界中が出口を見いだせない。

 革命は価値観をひっくり返す。ひたすら借金し、消費しなければ満足しない米国人の生活を転換する機会にすればいい。金もうけだけが人生の成功を意味する時代は終わりにしたい。

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