日米非公式会談 同盟『進化』につなげよ
2010年4月14日
鳩山由紀夫首相はオバマ米大統領との非公式会談で、普天間問題を五月末までに決着させる方針を伝え、協力要請した。難問だが、この問題に道筋をつけ、同盟関係の「進化」につなげてほしい。
日米首脳の非公式会談は、ワシントンでの核安全保障サミットの夕食会席上、約十分間行われた。
首相は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)返還問題について「五月末までに決着する。沖縄の負担軽減が日米同盟を持続的に発展させるためにも必要だ。大統領にもぜひ協力願いたい」と述べた。
代替施設の移設先について、首相の「腹案」は明らかでなく、会談でも提示されなかったが、日本政府は米軍キャンプ・シュワブ(名護市)陸上部を軸に、米軍の訓練を鹿児島県・徳之島など県外に分散移転させる案を模索している。
日本側は当初、公式会談を希望したが見送られた。公式会談となれば、大統領は現行案のシュワブ沿岸部を「望ましい」とする米政府方針を繰り返さざるを得ない。
会談を非公式にとどめたのは、米側の首相に対する不信感の表れとみる向きがある一方、普天間問題での決定的な決裂を避ける外交上の知恵との見方もある。
とはいえ、首相が「五月末までの決着」を大統領に言明した意味は大きい。首相は政治生命を賭して、移設先住民と米政府双方の理解を得る努力をすべきだ。
その際、重要なのは「沖縄の負担軽減」だ。県内移設では「最低でも県外」との首相公約を破り、在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県民の不満を増幅させる。
国民の理解が得られない同盟関係は脆弱(ぜいじゃく)だと、首相も大統領もあらためて認識せねばならない。
日米両政府間では同盟関係を深めるための作業が始まっているが、普天間問題が障害になり、順調に進んでいるとは言い難い。
国際社会は核拡散やテロ、地球温暖化、食料・エネルギー不足、感染症、貧困など多様な脅威に直面しており、日米両国は同盟を安全保障面だけで「深化」させるのではなく、協力分野を広げて「進化」させる必要がある。
特に、日本は唯一の被爆国だ。オバマ大統領の進める「核なき世界」実現への協力が実れば、進化した日米同盟の姿を国際社会に示すことができるのではないか。
そのためにも、普天間問題解決への道筋を早くつけ、同盟協議を加速させるべきだろう。それが首相に課せられた責任でもある。
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