なお癒えぬグローバル金融危機の傷
2010/9/19付
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米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻から2年。グローバルな金融・経済危機は金融機関の経営や規制のあり方を大きく変えた。政府が前面に出て経済を下支えしたが、先進国では民間主導の自律的な景気拡大のメドが立ったとは言い難い。
欧州では財政赤字の拡大が新たな金融市場の混乱を引き起こした。米国ではバブル崩壊で長期経済停滞に陥った日本のような事態にならないかとの懸念が広がり始めている。
米欧も外需期待強める
金融危機を招いたのは、米国の住宅と証券化のバブルだ。お金がだぶついた時代が続き、ウォール街は金融商品の開発にしのぎを削った。
代表例が、サブプライムローン(信用力の低い個人向けの住宅融資)を基にした金融商品だ。証券化で積み上げてきたカードの家は、リーマン破綻で完全に崩れ去った。
恐慌に陥った1930年代型の危機に、世界は直面した。各国が素早く対応したことは評価していい。米国は銀行に税金投入や債務保証を実施し、米連邦準備理事会(FRB)が幅広く資産を買い取った。
欧州では銀行国有化に踏み切る国もあった。FRBが事実上のゼロ金利政策に踏み切り、オバマ政権が大型財政支出に乗り出した。中国など新興国も大型景気対策に出た。
2009年春以降、政策効果が表れ、市場もいったんは楽観に傾いたが、そうは問屋が卸さなかった。
きっかけは今年春のギリシャ危機に代表される欧州の動揺だ。もともと南欧諸国は財政赤字を抱えていた。そこにリーマン・ショック後の財政支出が加わり、金融市場の信認を失ったのだ。欧州は財政・金融の二重の危機に見舞われた。
歩調を合わせたように米景気回復の足取りもおぼつかなくなった。4月末に住宅減税を打ち切った後、住宅市場が再び冷え込んだ。家計の過剰債務が重圧となって、以前のような旺盛な消費には期待できない。
現時点でバーナンキ議長らFRB首脳の頭を悩ますのは、米景気が二番底に陥り、日本のようなデフレに直面する事態である。オバマ政権は3500億ドルの追加景気対策を打ち出したが、11月の中間選挙を控え、早期成立のメドが立っていない。
財政赤字に対し欧州の金融市場が警鐘を鳴らしたのを受け、6月のトロント・サミットは首脳宣言で先進国の財政立て直しをうたった。それは経済の主導役の交代を告げるものだった。内需の大幅な拡大が期待しにくくなった分、米欧が目指しているのは輸出主導の景気回復である。
リーマン・ショック後も高い成長を維持している中国など新興国の需要に期待する度合いが、米欧では強まっている。輸出を後押しするために、米欧各国はドルやユーロが安くなるのを容認し、一種の通貨安競争が起きている。
日本は米欧が外需志向を強め、国際競争の環境が変化したのに気付くのが遅れた。今年夏から円は独歩高となり、新たな産業の空洞化の懸念が高まっている。それは通貨外交が不在だったツケでもあろう。
危機の引き金となった金融に対しては、様々な規制の動きが広まっている。金融機関の健全性規制を強め、証券化などに偏った経営の是正を促す一方、個別金融機関ばかりでなくマクロ経済も見据えた規制監督体制をつくる――。各国はそんな方向性を志向し、協議を重ねている。米国は銀行が過度のリスクをとるのを防ぐボルカー・ルールに基づく金融規制改革法を成立させた。
規制は実情見据えて
銀行の自己資本の強化は国際的な金融規制の最大の課題となっている。主要国などの銀行監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会は12日、銀行に対する新しい自己資本比率規制案を発表した。万一の際に最も頼りになる資本である「狭義の中核的自己資本比率」は、19年に実質7%に高めることにした。
今回、自己資本規制強化を求めたのは金融危機の震源地である米国だ。米国は金融に占める銀行貸し出しの比率が低く、厳格な規制は市場の信認回復につながると考えた。それに対し、日本や欧州は銀行貸し出しの比率が高いとして、硬直的な規制には異を唱えた。
邦銀はもともと自己資本が薄い。実情から離れた資本を求められると、貸し渋りが起きかねない。最終的な規制案が、自己資本比率を13年から段階的に引き上げる方式に落ち着いたのは、ひとまず歓迎したい。
新たな危機を招かぬ規制は重要であり、日本は金融の健全化の努力を重ねるべきだが、足元の景気とのバランスもまた極めて大切だ。
金融規制のルールづくりも経済外交の重要課題だ。金融危機後の世界では、各国が国益を前面に出し、自らに有利な結論を導く傾向が強い。それを見据えて、政府は日本が損をせずにすむよう事に当たるべきだ。
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