米大統領「中国は核大国」 首脳会談で持ち上げ責務促す
【ソウル=佐々木類】オバマ米大統領は11日、中国の胡錦濤国家主席との会談で、中国を「核大国」と呼んで安全保障上の責務を果たすよう促すなど、両国の協調関係構築に腐心する姿勢を演出した。ひと足先にアジアを歴訪したクリントン米国務長官は、南、東シナ海の領有権問題で挑発的な行動をとり、レアアース(希土類)の輸出制限に踏み込んだ中国側と激しい応酬を展開しており、大統領と長官が役割分担し硬軟を使い分けた格好だ。
オバマ大統領が中国に配慮するのは、中国が米国債の最大保有国で、経済を中心に米中両国の相互依存関係が深まっており、核開発を進める北朝鮮やイランへの制裁でも中国の協力が不可欠だからだ。来年1月には国賓として胡主席が訪米する外交上の理由もある。
両首脳による7回目となった今回の会談では、協調姿勢をみせつつ、中国の挑発的な行動をいかに牽制(けんせい)するかが焦点だった。
「域内の同盟国との関係強化と、中国の台頭に備えた環境づくり」(ベーダー国家安全保障会議アジア上級部長)を目的に、アジアを歴訪中の大統領が選んだ発言は「米中両国には、核、経済大国として、核不拡散、経済成長に『特別な責務』がある」だった。大統領は中国を米国と同列扱いで「核大国」と呼び、国際社会での責務を果たすよう中国側に強く促した。
その背景には、南シナ海など海洋の囲い込みを狙った挑発的な活動や、国際常識が通じない独善的な中国に対する「異質論」が、米国内や同盟国に高まっていることがある。中国を安保面における「大国」と持ち上げることで、その責務を自覚させる必要もあった。
すでに、インドをはじめアジアの民主国家による中国包囲網づくりを進めたオバマ大統領にとって、胡主席の訪米を前に、これ以上踏み込んで中国を追い込むことは得策ではない、との判断もあったようだ。
逆に、クリントン長官が対中政策で今まで以上に強い姿勢に転じたのは、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件がきっかけだ。
クリントン長官は10月30日にベトナム・ハノイの米中外相会談で、中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相から尖閣諸島の「中国の主権」を尊重するよう求められた際、逆に「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象だ」と一蹴し、激しいさや当てを演じている。
中国政府がレアアースの対米輸出規制に乗り出したとの報道が、オバマ政権の「目を覚まさせた」(クリントン長官)。中国の輸出規制が「軍事戦略上の判断なのか、経済上の理由によるものなのか読めない」(米政府当局者)ことも、米側をいらだたせている。
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