米国務省のケビン・メア日本部長が「沖縄の人はごまかしとゆすりの名人で怠惰だ」などと、侮辱的な発言をしていた。沖縄県民への偏見に満ちた許し難い発言であり、激しい憤りを禁じ得ない。
問題発言は、沖縄研修に向かうワシントンのアメリカン大の学生14人への講義の中であり、学生がまとめた講義の発言録で明らかになった。
メア氏は「日本人は合意重視の和の文化をゆすりの手段に使う。沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人」などと述べ、本音と建て前の違いに気を付けるよう注意を促したという。「沖縄の人は怠惰でゴーヤーの栽培もできない」という発言に至っては、沖縄蔑視以外の何ものでもない。
あろうことかメア氏は2年前まで3年間、駐沖縄総領事を務め、普天間飛行場移設など沖縄の基地問題に精通した人物である。駐日大使館の安全保障部長の経験もある。日本での経験も豊富な対日政策のキーマンが、沖縄に対する無理解と偏見に満ちた考えに凝り固まっていたのかと思うとがくぜんとする。
実はメア氏は沖縄在勤中にも「普天間は特別に危険ではない。福岡や伊丹も同じように危険で、それを沖縄の人も知っている」と発言し、県民の心を逆なでしたことがある。3年間、現地で何を見てきたのか。このような偏見の持ち主が米政府の対日政策の重要ポストに座り続けていることに失望を隠せない。
仲井真弘多沖縄県知事が強い不快感を示し、県議会や那覇市、名護市議会などが発言の撤回と謝罪を求める決議を全会一致で可決したのは当然だ。抗議のうねりが全県に広がり全国に波及するのは避けられないことを、米政府は自覚すべきだ。
米政府は、発言は報道がもたらした誤解だとして、混乱について謝罪し、沈静化を図ろうとしているが、メア氏の個人的な問題で片づけるわけにはいくまい。米政府関係者に巣くうのは沖縄蔑視そのものであり、沖縄を占領する姿勢がいまだに見え隠れしているからである。
残念なのは米側に対する日本政府の及び腰だ。これほど沖縄の人が侮辱を受けたのに、毅然(きぜん)とした態度で臨もうとしないのは怠慢というほかない。直ちに米大使を外務省に呼びつけ、厳重抗議すべきなのに電話で済ませたというから情けない。メア氏の解任を強く求めるなど、米側に猛省を促すことがなにより重要だ。
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