【緯度経度】ワシントン・古森義久 今も続く多彩な日本支援の輪
米国の首都ワシントン地区ではいまなお日本の大震災救済への支援活動が驚くほど多彩に繰り広げられている。在米日本人側からの働きかけも多いが、米国側一般の熱のこもった反応には素直に感激させられた。
つい先週の17日夕には首都近郊のアレクサンドリアでワシントン・ナショナル交響楽団の著名な音楽家たちが登場する「がんばれ日本!コンサート」が催された。地元の日系相互扶助団体が同交響楽団と協力しての日本の被災者への義援金募集の催しだった。
国際的にも有名な同交響楽団の首席フルート奏者の河野俊子さんやビオラ奏者の江口真保子さんら在米の日本人音楽家に加えて、米側の団員も演奏した。
バッハやモーツァルトの作品に続いて日本の歌となり、河野さんのフルートが母親の純子さんのピアノ伴奏で「赤とんぼ」を奏でると満員の会場は一段と静まり返り、日本の災禍を思ってか、涙をぬぐう人も散見された。
ワシントン中心部の国立大聖堂での11日の「日本のための祈り」は日本への励ましと支援を送る儀式としてさらに大規模だった。
キリスト教の聖堂だとはいえ、祈りの前奏にはオルガンとともに琴が奏でられ、「日本」を前面に押し出していた。聖書の哀悼の言葉とともに、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が読まれ、唱歌の「さくらさくら」が歌われた。
被災者への祈りの言葉がキリスト教だけでなくヒンズー教、イスラム教、ユダヤ教、そして仏教から神道の代表までによって次々とささげられたのが、いかにも米国らしかった。
米国側の熱心な日本支援といえば、恒例の「桜まつり」の期間中の9日に一般にアピールした「日本への心」という募金活動も顕著だった。活動の主体は在米日本大使館員の夫人たち50人ほどが数週間をかけて和服の布を素材にチューリップの造花を作り米側に売り、義援金とするという作業だった。
藤崎順子さん、石川裕子さん、梶川仁美さんらが主導して、色とりどりのチューリップ1千本を作り、ペンシルベニア大通りの屋外仮設ブースで1本5ドルで売りに出したところ、すぐに売り切れた。
買い手は大多数が桜まつりにきた一般米国人で、10代の少女たちまでが造花代だけでなく自分の小遣いらしい所持金をすべて寄付しようとする場面が何度もあったという。
商工関連組織の募金も活発で、18日夕にはワシントンでも著名なアジア料理店「シティ・ゼン」のエリック・ジーボルド料理長の呼びかけで7軒の日本レストランが加わり、義援金拠出の特別ディナーが催された。23日にはアメリカン大学日本語教授のウィリアムズ憲子さんらの合唱グループが「歌でつなごう支援の心」という復興支援コンサートを開く。
米国側からのこの種の日本支援はまだまだ輪を広げそうである。この動きを目撃し、日米両国民の人と人との融合や、その背後にみえた米側の日本への善意に胸を打たれた日本人は決して私ひとりではないだろう。
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