日米防衛相会談 ミサイル技術協力を深めよ
日米の防衛協力を深めて、同盟関係を強化する動きと歓迎したい。
北沢防衛相がシンガポールでゲーツ米国防長官と会談し、日米が共同開発している次世代型迎撃ミサイルを米国から第三国に移転・輸出する際の日本側の基準を正式に説明した。
ミサイルの移転対象国を米国の同盟国に事実上限定する。米国と第三国は、第三国から別の国に再移転させないよう「厳格な輸出管理策」を取る。こうした条件が守られれば、日本は第三国への移転や売却を容認するとしている。
この問題は、2006年に日米がミサイル防衛(MD)システムの共同開発を開始して以来の懸案だった。日米は14年ごろから共同生産の段階に入り、18年には配備を開始する予定で、それまでに決着させる必要がある。
弾道ミサイルの脅威に対抗するには、日米がMDの部隊運用や情報面の連携に加え、技術面でも密接に協力することが欠かせない。次世代型迎撃ミサイルの共同開発は、その象徴と言える。
日本は従来、武器輸出3原則の制約から防衛技術の国際協力で後れをとってきた。3原則の例外扱いとされる日米共同開発では、日本の技術力への評価は高い。今回のような協力を拡大したい。
菅政権は昨年末の防衛大綱策定時、社民党への配慮から、武器輸出3原則の緩和を見送った。その際、米国以外との国際共同開発への参加を検討課題に掲げた。
日本の防衛産業が技術基盤を維持する観点からも、早期に3原則の緩和に踏み出すべきだ。
日米防衛相会談では、硫黄島に代わる米空母艦載機の離着陸訓練地を確保する問題も協議した。
新たな訓練地確保は、米海軍厚木基地の空母艦載機を岩国基地に移駐する条件となっている。
防衛省は、鹿児島県西之表市の種子島の西に位置する馬毛島を候補地に選び、地元との調整を始めている。在日米軍再編の一つの柱である空母艦載機の岩国移駐を前進させるための重要な一歩と、高く評価できる。
新たな米軍訓練地を探す作業は常に、受け入れ先の自治体との調整が課題となり、簡単ではない。硫黄島の代替地探しも難航し、予定より遅れているが、できるだけ早期に実現する必要がある。
菅政権は、普天間飛行場の移設を始め米軍再編問題では先送りが目立つ。だが、日米合意を一つずつ着実に履行することこそが、同盟の信頼性を高める道だ。
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