US-China Strategic Dialogue Ends with Human Rights Friction

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Posted on May 8, 2012.

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北京で開かれていた第4回米中戦略・経済対話が閉幕した。

 両国の閣僚が、外交や安全保障、経済など幅広い課題について話し合い、共同文書で、「21世紀の新たな国家関係のモデルを構築する」との方針を確認した。

 経済的な相互依存関係を深める両国が、世界経済だけでなく、国際社会の平和と安定に重要な役割を果たしていくという決意を、改めて表明したものだ。

だが、対話直前、中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏の米国大使館駆け込み事件が起きた。

 対話中も、米中は、事件が両国関係に影響を及ぼさぬよう、もっぱら事件の火消しに終始した感が強い。外交・軍事面は無論、人権問題でも火種を抱えていることを浮き彫りにしたと言える。

 事件は、中国側が陳氏の留学目的での出国を認める方針を示し、米国留学で決着する見通しだ。

 中国には、人権問題の象徴となった陳氏を早期に出国させることで、国内の民主化運動の高まりを防ぐ狙いがあろう。

米中は、人権対話の今夏開催で合意した。国内人権状況への言及を「内政干渉」とはねつける中国の姿勢は変わるまい。米国は安易に妥協することなく、状況改善を地道に働きかける必要がある。

 今回の対話の焦点だった北朝鮮の核実験阻止など朝鮮半島情勢や、イラン核問題への対応は、人権問題の陰に隠れる形となった。議題に取り上げられたものの、具体的な議論の内容は不明だ。

 国連安全保障理事会の常任理事国である両国は、率先して北朝鮮の核実験阻止に努めるべきだ。

 今回の対話では、海洋安全対話を今秋初めて開催することや、アジア太平洋地域に関する協議を今年後半に開くことも決まった。

 南シナ海を巡っては、「航行の自由」を訴える米国と、自らの「核心的利益」として尊重を迫る中国の立場の隔たりが大きい。両国が一連の対話を通じて、不信感を緩和することが重要である。

 経済問題では投資協定の交渉再開が決まった。中国がハイテク製品の対中輸出規制緩和を求めたのに対し、米国が検討に応じるなど合意点も少なくなかった。経済摩擦の解消へ、対話は一定の効果を上げていると見てよい。

 日中間では、日本の政局や尖閣諸島を巡る中国の反発などが原因で、閣僚級のハイレベル経済対話が2010年を最後に、開かれていない。対話を早期に再開し、拡大を図っていかねばならない。

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