米大統領選は11月の投票に向け、終盤戦に突入した。民主、共和両党はそれぞれ党大会を開き、正副大統領候補を正式指名した。事実上の公約となる党綱領を採択し、それぞれの大統領候補は指名受諾演説で任期4年間の理念や政策、決意を語った。世界情勢の行方に影響を及ぼす大国のリーダーを決める4年に1度の選挙の動向を注視したい。
民主党は綱領で富裕層に増税し、中間層を保護する政策の必要性を強調した。その上で共和党の政策を「無責任な過去の失敗への回帰だ」と批判する。
共和党は綱領で富裕層の増税に反対し、規制緩和による自由競争を促す政策を掲げた。オバマ政権が成立させた医療保険改革法は撤廃すると断言した。
指名受諾演説でも立場の違いが際立った。
民主党のオバマ氏は「公平な社会」の実現を掲げ、共和党のロムニー氏が掲げる「徹底した自由競争」の二者択一を有権者に迫り「異なる二つの未来だ」と訴えた。
共和党のロムニー氏はオバマ氏が前回選挙で掲げた「希望と変革」を引き合いに「『失望』と分断に取って代わられた」と批判し、1200万人の雇用創出を公約した。
方向性の異なる公約で激突する両候補だが、共通する政策もある。安全保障だ。民主党は「アジア太平洋地域の米軍再編は最優先事項。日本など同盟国を防衛し、関係強化を図る」との方針を掲げ、オバマ氏は「世界最強の軍を維持する」と表明する。共和党は「日本などと経済、軍事、文化的な結び付きを持つ」「大幅な国防費削減に反対」と表明し、ロムニー氏は「他国の挑戦を許さない『強い軍隊』を維持する」と述べた。
沖縄側からみると軍事的な強硬姿勢を打ち出す両候補の姿に強い違和感を覚える。軍隊という暴力装置で力の均衡を保つ手法が幅を利かせた結果、在日米軍専用施設の74%が沖縄県に集中し、県民が日常的に基地被害に苦しんでいるからだ。
さらに日米両政府は垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備の方針を変えていない。欠陥機が住民の上空を飛ぶことなど容認できない。両候補は市民の命や人権を二の次とする軍事路線を見直し、国際社会と協調してあらゆる紛争を抑止あるいは平和的に解決する品位と節度のある外交安全保障政策を再構築してほしい。
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