Obama’s Second Term: Questioning the True Value of American Resurgence

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オバマ氏期目 米国再生へ真価が問われる1月28日付・読売社説

 米国再生へ成果が問われる重要な年間だ。

 再選を果たしたオバマ米大統領が、期目のスタートを切った。

 オバマ氏は新たな任期に臨む就任式で「年に及ぶ戦争は今、終わりつつある。経済の回復も始まった」と述べ、期目の成果を誇示した。

 アフガニスタン駐留米軍は戦闘任務をまもなく終え、来年末には撤収する。リーマン・ショックで急落した株価も危機前の水準を超えて大幅に上昇し、シェールガス革命でエネルギーブームだ。

 オバマ氏には、ブッシュ前政権の「負の遺産」を克服したという自負心があるのだろう。

 ただし、本格的な再生へ、前途はいばらの道である。

 最重要課題は財政再建だ。

 財政赤字は年連続で兆ドル約兆円を超え、政府債務残高も兆ドル超に膨れ上がった。

 大型減税の失効と歳出の強制削減が重なる「財政の崖」からの転落は、ひとまず回避した。連邦政府の借り入れ枠である米国債発行枠債務上限を暫定的に引き上げ、デフォルト債務不履行も約か月避けられる方向だ。

 だが、抜本的な財政再建策は先送りされている。

 オバマ氏は、議会で必要な法案が成立するよう、強い指導力を発揮しなければならない。

 下院を野党・共和党、上院を民主党が制する“ねじれ議会”で、党派対立はむしろ深まっている。議会対策は容易ではあるまい。

 オバマ氏が、財務、国務、国防各長官ら主要閣僚を交代し、議会に顔が利くベテランを指名したのも、そのための布陣と言える。

 小学生人が犠牲となった銃乱射事件を受けた銃規制の法整備、不法移民の子供に条件付きで市民権を付与する移民制度改革など、内政の難題は山積している。

 外交・安全保障面では、進む一方の北朝鮮やイランの核開発に取り組まねばならない。停滞したままの中東和平や「アラブの春」後の混乱に対処する上でも、米国の積極的な関与は欠かせない。

 とりわけ、アジア重視戦略の真価が問われている。

 軍事的にも経済的にも膨張著しい中国を牽制

けんせい

しつつ、習近平政権とどういう関係を築くのか。自由で開かれた平和なアジア太平洋地域の構築へ、日本など同盟国との関係強化は不可欠である。

 安倍首相は来月、訪米し、オバマ氏と首脳会談に臨む。中国をにらんだ戦略的な日米同盟の強化策を論じ合ってもらいたい。

2013年1月28日01時07分 読売新聞

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