また米軍機が墜落するのではないか。そんな沖縄の不安が現実のものになった。
米空軍嘉手納基地に所属するHH60救難ヘリコプターが、米軍キャンプ・ハンセン敷地内の山中に墜落炎上した。訓練中の乗員4人のうち3人は脱出したが、1人は死亡したとみられる。
沖縄県には在日米軍の専用施設が集中している。キャンプ・ハンセンを抱える金武町は、町面積の60%を米軍基地が占めるほどだ。いつ住宅地に墜落しても不思議ではない。
沖縄に安全な空を戻さなければならない。日本政府は米側に強く抗議し、再発防止に万全を期すべきである。
沖縄県によると、本土復帰後の41年間に県内で起きた米軍機墜落事故は、これで45件目となる。年1回を上回る発生であり、3カ月前にもF15戦闘機が国頭村沖の海上に墜落したばかりだった。
墜落の危険と紙一重の訓練が、沖縄で繰り返されているのではないか。在日米軍は「墜落原因を徹底的に調査する」と述べた。当然のことである。言葉だけに終わらせてはならない。
沖縄は今、米軍新型輸送機MV22オスプレイの追加配備に、こぞって反対しているさなかである。その理由も安全性への懸念だ。
オスプレイは試験飛行段階で3回、実戦配備後も3回の墜落事故を起こしている。命の危険にいつもさらされている住民が、今回の墜落で追加配備に一層反発を強めるのはもっともである。
米海兵隊は今回の事故を受け、岩国基地に搬入済みのオスプレイ10機については、米軍普天間飛行場への移動を一時見合わせると発表した。沖縄の頭越しに追加配備を強行すべきではない。
在日米軍の事故直後の対応にも疑問符がつく。通報で駆けつけた沖縄県警はゲートに阻まれ、消防車は追い返された。日米地位協定により、米軍の同意なしには基地内に立ち入れないからだ。
米軍が事故を発表したのは、墜落から2時間以上も過ぎた後で、それも不十分な内容だった。地元軽視と受け止められても仕方ないだろう。
米海兵隊の大型輸送ヘリが2004年8月、普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学に墜落した。この時も事故直後から米軍が立ち入り禁止ラインを設けた。警察などは地位協定の壁に阻まれ、閉め出されてしまった。
日本政府は今回の事故の合同調査を米側に申し入れてはどうか。相変わらず米軍任せでは、沖縄の不安と向き合うことにならない。
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