US Intelligence Agency Wiretapping: We Need Rules that Won't Invite Distrust

Edited by Gillian Palmer

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米情報機関盗聴 不信持たれぬルールが必要だ(11月1日付・読売社説)

 米国の情報収集力が、同盟国といえども権力深奥部にまで及ぶ冷徹な現実を示すものだ。

 通信傍受による情報収集を主任務とする米国家安全保障局(NSA)がメルケル・ドイツ首相の携帯電話などを盗聴していたとして、米国と同盟関係を結んでいるドイツなど欧州各国が猛反発している。

 メルケル氏は、首相就任以前から10年以上、通話を傍受されていたという。米国に強い不快感を表明したのはもっともだ。

 米国の全情報機関を統括するクラッパー国家情報長官は議会で、「国家指導者の意図を探るのは、情報機関の基本」と証言した。

 NSAが世界の指導者35人を盗聴したとの報道もある。各国首脳に対する通信傍受を事実上認めたといってよい。

 通信傍受を巡り、同盟国の間で対米不信が募れば、外交にも悪影響が及ぼう。オバマ政権は、ドイツなどとの関係修復に向けて、最善の努力を尽くすべきだ。

 もっとも、米国に通信傍受の抑制を期待するのは不可能だろう。また、危険である。

 インターネットと携帯電話の普及に伴い、情報機関にとって、通信傍受による情報収集の重要性は格段に増した。とりわけ、米同時テロ以降は、傍受の技術力とその規模において、NSAは最先端であり続けてきた。

 米国の情報収集活動が、テロ対策などで、同盟国に利益をもたらしてきたことは否定できまい。だからこそ、同盟国も米国に情報を提供するなど協力している。

 国家の安全保障上、情報収集は極めて重要だ。

 仮に米国が通信傍受を抑制した場合、利益を得るのは、独自の情報戦を展開する中国やロシアだろう。米国の監視の目を恐れるテロリストも利するに違いない。

 今必要なのは、同盟国の不信を招かぬよう、米国が、国内外での情報収集のあり方や秘密保持のルールを見直すことである。

 米政府は年末をめどに情報収集活動全般の見直しをすると表明した。議会も同調している。新たな情報収集体制の確立につながるのか、注視したい。

 傍受を受けたとされる側も防諜ぼうちょう体制を整える必要があろう。敵対的な国に盗聴を仕掛けられる可能性は常に存在する。日本政府は、安倍首相への盗聴を否定しているが、例外ではない。

 いつでもどこでも通信が傍受される時代になってきた。外交もそれを前提に行うことが肝要だ。

(2013年11月1日01時45分 読売新聞)

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