【リッチモンド(米バージニア州)=青木伸行】バージニア州上院は23日の本会議で、「日本海」と記載されている州内の公立学校の教科書に、韓国政府が主張する「東海」を併記する法案を賛成32、反対4の賛成多数で可決した。韓国が米国の一地方議会を乗っ取った感すらあり、韓国政府の見解を代弁した一方的な主張がまかり通っている。
「とてもいい状況だ」。本会議の直前、議場で法案提出者の1人、リチャード・ブラック議員(共和党)が笑みを見せた。可決は間違いないという表情だ。読み通り結果は圧倒的大差だった。韓国系米国人団体などの議会への浸透ぶりを、改めて見せつけた格好だ。
妻が韓国系のチャップ・ピーターセン議員(民主党)は賛成した。「義理の父は日本の占領下で育ち、当時は地名なども日本語になった。そういう文脈の中に『東海』もある」と強調した。
ブラック氏は「1929年に、国際水路機関(IHO)が『日本海』と決めた当時は、日本は軍国主義下にあり韓国を強制占領した時期で、韓国に発言権はなかった」と力説した。韓国政府の「日本海の名称は、日本の拡張主義や植民地支配の結果広められてきた」という主張を、代弁したものにほかならない。
23日の上院本会議では「日本海」と「東海」だけではなく、「南シナ海」と、フィリピン政府が導入した「西フィリピン海」など、係争がある呼称を一括して扱うよう求める修正案も採決された。しかし、反対多数で否決された。
修正案を提出したドナルド・マキーチン議員(民主党)は「係争がある地名は注意深く扱わなければならない。こうしたすべての地名を一度に集めるべきだ」と力説した。
これに対し反対理由は、「係争がある地名に関する要求は、韓国系以外からは聞いたことがない」(ジャネット・ハウエル議員=民主党)、「米韓同盟ほど強固なものはない。われわれは韓国系、(在米)韓国人の側に立つ」(ブラック氏)だった。
米政府は「日本海」の単一呼称を支持している。国家間の係争が一地方議会に持ち込まれた形だ。
米紙ワシントン・ポスト(23日、電子版)は、在米日本大使館がリッチモンドの法律事務所にロビー活動を依頼し、佐々江賢一郎駐米大使が22日、マコーリフ州知事を表敬したことをとらえ、外国政府が(韓国系)米国人の問題に介入することへの批判的な記事を掲載した。
だが、併記推進派議員に働きかける韓国系団体などは、韓国政府と結びついているとみられ、日本政府の活動の批判は公平さを欠く。メディアの一部も“洗脳”されているようだ。
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