北朝鮮が二回目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射をした。米韓両軍はすぐ韓国内でミサイル発射演習を実施してけん制した。緊張が高まる今こそ、偶発的な衝突を防ぐ対策が必要だ。
ミサイルは北海道・奥尻島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。高角度のロフテッド軌道で打ち上げたが、米専門家らには、通常の軌道なら米中西部にまで届くとの見方がある。
大気圏再突入や弾頭の誘導システムなど技術面の課題は残るが、今回は事前探知が難しい深夜に発射し、ICBM開発がさらに進んだと見ざるを得ない。
米国は日韓と共に、軍事的圧力を北朝鮮に誇示してけん制した。米B1戦略爆撃機二機と航空自衛隊のF2戦闘機二機が三十日、九州から朝鮮半島の空域で共同訓練を実施した。続いて米B1機は韓国空軍機とも訓練を行った。
懸念されるのは、朝鮮半島で偶発的な衝突が起きることだ。米韓と北朝鮮が軍事力を誇示して相対する状態では、誤った情報や判断、さらに過剰な反応によって、局地的な衝突が起き、拡大する可能性はゼロではない。
東アジア全体が危機に直面しないよう、対策を急がなくてはならない。韓国政府が提案したように、まず北朝鮮との軍事会談を開いて、軍当局間の「通信回線」を正常化させ、緊急事態には連絡し合う態勢を築くべきだ。
いま北朝鮮は訪朝した米国人三人を敵対行為の容疑などで拘束しており、トランプ政権は自国民の解放を求めて接触を続けているとみられる。米側は北朝鮮との接触を重ねて双方の不信感を解き、さらに核、ミサイル問題での交渉に入る戦略が必要ではないか。
一方、関係国の足並みはそろわず、十分な包囲網が築けない。
米国は北朝鮮への圧力と制裁強化を進め、日本も歩調を合わせる。紛争時には当事者になる韓国は圧力と対話の間で揺れている。
中国は制裁を段階的に強めていると言うが、圧力とともに対話による解決を訴える。ロシアは北朝鮮のICBMを過小評価し、経済面で支えるような動きまで見せている。
北朝鮮が外貨収入のかなりの部分を核、ミサイル開発に投じているのは間違いない。中国とロシアも国連安全保障理事会の制裁決議を着実に履行すべきだ。日米韓を加えた関係五カ国を軸に国際社会全体が連携しない限り、北朝鮮の暴走は止められないだろう。
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