Japan and US Commit To Deepening Ties To Aid International Cooperation

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日米首脳協議 国際協調へ連携深めよ

日米両首脳が電話で協議した。バイデン大統領は就任後、温暖化対策のパリ協定復帰など前政権の政策を次々と転換している。日米が連携を深め、米国の国際協調路線への復帰を後押ししたい。

 菅義偉首相と大統領との電話協議は二十八日未明、約三十分間行われた。十一月に続き二回目で、大統領正式就任後は初めてだ。

 両首脳は協議で「日米同盟」の強化とともに「自由で開かれたインド太平洋」の実現へ緊密に連携する方針を確認。首相はパリ協定復帰や世界保健機関(WHO)からの脱退通告撤回など新政権の政策への歓迎を表明した。

 安倍晋三前政権が「蜜月」関係を築いた共和党のトランプ前政権は多国間の国際協調路線に背を向け、中国との対立もあおった。

 バイデン民主党政権への交代は米外交政策の抜本的転換を意味する。日本政府は米国の国際協調路線への復帰を積極的に支持し、地球温暖化や新型コロナ感染症など国際社会が直面する課題の解決に向けて、力を合わせるべきだ。

 バイデン氏は「同盟関係を修復する」とも訴えてきた。一国主義を脱却し、国際協力の推進を意味するなら歓迎すべきではある。

 ただ、日本にとっては在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増加や、自衛隊の役割強化を含意しかねない。慎重に見極め、対処する必要がある。

 日本は在日米軍駐留経費のうち年間平均千八百九十三億円を負担しているが、米前政権は四倍に当たる年間八十億ドル(約八千四百億円)への増額を求めたという。

 しかし、日本の負担は米軍施設借料や基地交付金などを加えれば総額年間八千億円近くに達する。そもそも日米安全保障条約上、日本側に義務のない負担であり、今後の交渉では過重な日本側負担の実情を丁寧に説明したい。

 F35戦闘機など高額な米国製兵器の大量購入や沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設も、政権交代を機に見直しを提起すべきだ。

 軍事的、経済的台頭が著しい中国とどう向き合うかは、日米両国にとって引き続き難題だ。

 大統領は電話協議で、米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約五条が沖縄県・尖閣諸島に適用されることを改めて確認した。

 米国の軍事力を後ろ盾とし、領域を守り抜く決意は必要だが、不測の事態につながる対立先鋭化は避けねばならない。関係国間の信頼を醸成し、地域安定につながる外交政策にこそ知恵を絞りたい。

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