Release of Sewage in Okinawa and the Tyranny of an Untrustworthy US Military

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沖縄で汚水放出 不信極まる米軍の横暴

沖縄の米海兵隊が普天間飛行場(宜野湾市)から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFOSを含む汚水を公共下水道に放出した。

 県や市が放出計画に反対し、日米両政府が取り扱いを協議している最中に、一方的に踏み切った。

 米側は浄化装置で濃度を低減処理したとして安全性を強調するが、宜野湾市の調査で国の暫定指針値の約13倍の濃度を検出した。

 周辺住民だけでなく日本政府をも軽視した米軍の横暴であり、認められない。

 驚いたのは、基地内に残る未処理の汚水について、日本政府が引き取って処分すると決めたことだ。基地内の環境保全は米軍に責任がある。日本国民の税金で肩代わりするのは筋違いだ。

 対米追従が過ぎるのではないか。政府は米側が対処するよう求めるべきである。

 PFOSは航空機事故用の泡消火剤などに使われてきたが、発がん性など人体や環境への悪影響が指摘され、国際的に製造・使用が規制されている。

 米軍はこれまでは汚水を業者に委託して焼却処分していた。経費がかかるとして放出する計画を日本側に打診し、日米で協議中の8月下旬、作業の30分前に通知して約6万4千リットルを流した。

 地元から「だまし討ち」と怒りの声が上がるのも当然だ。米軍の駐留は信頼関係なくして成り立たない。今回の行為はその基盤を大きく損ねている。

 岸信夫防衛相は残る約36万リットルについて「住民の懸念を払拭(ふっしょく)する」として、引き取ることを表明した。焼却処分には約9200万円かかる。さらに汚水の貯水槽周辺を補修する費用も負担する。

 だが、在日米軍の法的地位を定める日米地位協定に、日本政府の肩代わりを定める規定はない。対応を急ぐ必要があったとしても、米側をただすのが先だ。

 米軍基地周辺の環境汚染は全国各地で問題になっている。普天間では昨年、PFOSを含む泡消火剤が基地外に大量に流出した。東京・横田基地の周辺などでも高濃度のPFOSが検出されている。

 にもかかわらず、地位協定が米軍の「治外法権」を認めているため、日本側の立ち入り調査はほとんどの場合は認められない。保有量や管理の実態さえ分からない。

 きょう発足する岸田文雄新政権は、汚水放出を繰り返さぬよう米側と早急に協議し、地位協定の抜本的見直しも求めていくべきだ。

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