The Invasion of Ukraine: Make Russia Pay for Its Violence

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国連憲章踏みにじる重大な挑戦◆

 ロシアがウクライナに対する軍事攻撃を開始した。他国の主権と領土を踏みにじる明らかな侵略である。国際法に違反する暴挙だ。

 国連憲章でうたわれた、主権と領土の尊重や紛争の平和的解決の原則を根底から覆し、第2次世界大戦後の国際秩序を破壊するものだ。国際社会はロシアに断固たる制裁を加え、重い代償を払わせねばならない。

 ◆プーチン氏の身勝手

 プーチン露大統領は、ウクライナ東部の親露派住民を保護すると称し、ロシア軍に軍事作戦の開始を指示した。ウクライナの非武装化を追求する考えも強調した。

 露国防省は、ウクライナ軍の施設や飛行場を無力化するための攻撃を行う方針を示したという。

 ウクライナの首都キエフや東部の主要都市の政府軍施設をミサイルで攻撃し、黒海に面する南部オデッサも攻撃を受けたと伝えられる。政府機関に対するサイバー攻撃も確認されている。

 ロシア軍が昨年末以降、ウクライナ周辺に部隊を集結、増強させてきた経緯を踏まえれば、プーチン氏はすでに侵攻する決意を固めていたのだろう。

 ロシアは米国に対し、米欧同盟の北大西洋条約機構(NATO)にウクライナを加入させないことの確約を求めてきた。だが、交渉をまとめる意図など最初からなく、侵攻を正当化する口実を作りたかっただけではないか。

 ロシアは2014年にもウクライナのクリミア半島を軍事的圧力を使って併合している。旧ソ連構成国のウクライナが、親欧米に傾いたことがきっかけだった。

 プーチン氏は、ロシアとウクライナの歴史的、文化的な一体性を強調してきたが、ウクライナはクリミア併合に反発して、ロシアからますます離れている。19年には親欧米志向の政権が発足した。

 こうした動きに歯止めをかけ、ウクライナを力ずくでロシアの勢力下に置くことが、プーチン氏の本音であることは間違いない。

 軍事作戦の真の目的も、ロシア軍の活動範囲を拡大しながらウクライナ軍を弱体化させ、現政権を退陣に追い込むことだろう。東部住民の保護は口実にすぎず、軍事行動の正当性はどこにもない。

 侵略が続けば、ウクライナ軍との衝突は避けられない。住民を含め、双方に多数の死傷者が出ることになる。非人道的なプーチン氏の決定に改めて憤りを覚える。

 国連憲章は、国家の領土保全と政治的独立を定め、領土問題を巡る武力行使や軍事的な威嚇を禁じている。ロシアは、世界の平和と安全により重い責任を持つ国連安全保障理事会常任理事国であるにもかかわらず、これを破った。

 ◆安保理の存在問われる

 国連発足以来、米英仏中露の安保理常任理事国には、1か国でも反対すれば決議案を葬ることができる拒否権が与えられている。ロシアはこれを基に非難決議を回避しようとするなど、安保理が機能不全に陥っている。

 ソ連崩壊後のNATO拡大を一方的に非難し、世界の安全保障秩序をロシアに都合の良い形で改編しようとするプーチン氏の試みは、戦後の国連システムの成果を否定するものである。

 そもそも、同盟の選択や変更は各国が主権を行使し、自由意思で決める問題だ。NATO拡大は、東欧や旧ソ連の新規加盟国が民主主義や法の支配に共鳴し、自国の安全保障を強化しようとした結果、実現した経緯がある。

 ロシアの暴挙は、戦後秩序への挑戦にほかならない。「国連中心主義」を外交の基本軸の一つとして掲げてきた日本は、国連総会の場などで、こうした主張を先頭に立って展開すべきだ。

 ◆実効性のある制裁を

 バイデン米大統領は「世界はロシアの責任を追及していく」と述べ、「同盟国とともに断固とした措置をとる」と強調した。

 クリミア併合の際は、日米欧ともに効果的な対露制裁を科すことができなかった。この教訓を踏まえ、今回は先進7か国(G7)が足並みを 揃 えて実効性のある制裁を打ち出すことが重要である。

 米国は、ロシアの銀行などをドル決済から締め出す金融制裁の強化や、ロシアへの先端技術輸出の規制を検討している。ドイツは、ロシアとの新たなパイプラインの稼働停止を決めた。日本も 毅然 とした態度を示さねばならない。

 ウクライナがロシアの威嚇に屈することがないよう、日米欧の支援が不可欠となる。露軍の撤収なしでは、対露交渉は見込めない。撤収への圧力を強化すべきだ。

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