More Pressure on Russia: Let Putin Know He’s Wrong

<--

 ウクライナでのロシア軍の残虐行為が次々と明らかになり、事態は深刻さを増した。米欧と日本は結束し、ロシアの侵略を失敗に終わらせるための圧力を強めねばならない。

 露軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊では、ブチャに加え、ホストメリなど各地で多数の住民が行方不明になっている。露軍兵士が占領中、殺害や拉致、拷問、女性への暴行などを組織的に行った疑いが強い。

 ロシアの国営通信社は、反抗するウクライナ人を「完全に浄化」すべきだとする論評を伝えた。露軍の行動は戦争犯罪であるだけでなく、特定の国民を抹殺しようとする「ジェノサイド(集団殺害)」にも相当するのではないか。

 蛮行の背景には、ウクライナ軍の反撃にあい、侵略が想定通りに進んでいないことがある。ロシアはキーウ制圧を当面見送り、ウクライナの東・南部に攻勢をかける構えだ。住民を畏怖させ、降伏を迫る戦術をやめる兆しはない。

 全ての責任はプーチン露大統領にある。異論を許さない独裁体制では、戦況に関する正確な情報も、側近からの的確な助言も上がってこないかもしれない。プーチン氏自ら正常な分析や判断が困難な状態に追い込んでいると言える。

 事態の長期化が見込まれる中、国際社会は、プーチン氏が誤りを認め、軍を完全撤収させるまで、手を尽くす必要がある。

 米国は、ロシアの最大手銀行について、米国内の資産を凍結し、企業や個人との取引を禁止する追加制裁を発表した。英国はロシア産の石炭や天然ガスの輸入停止を打ち出し、欧州連合(EU)も石炭禁輸で調整を進めている。

 制裁は、ロシアの外貨獲得や兵器の製造、調達を困難にし、戦争遂行能力を低下させる狙いがある。制裁を科す側にも資源価格高騰などの痛みが伴うが、「国際社会とロシアの戦い」という観点に立って対処すべきだ。

 ウクライナへの軍事支援拡大も重要である。停戦交渉の行方は戦況と直結する。ウクライナが露軍の撃退を続けられれば、交渉での立場は強まり、ロシアの譲歩を引き出す可能性も出てくる。

 ベルギーでは先進7か国(G7)と北大西洋条約機構(NATO)が外相会合を相次いで開いた。林外相はNATOの会合にもパートナー国として初めて参加した。

 米欧同盟のNATOは中国への脅威認識も高めている。日本はNATOとの協力関係をインド太平洋地域の安定に生かしたい。

About this publication